• 2025/08/26 掲載

30~40%もムダだった…日本企業の「肥大化システム」に潜む恐ろしい実態

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あなたの会社でも基幹システム導入プロジェクトが炎上した経験はないだろうか。実は日本企業のシステムには30~40%ものムダが潜んでいる。既存業務プロセスへのこだわりが強すぎて、本来の目的を見失ってしまうのだ。データ整備の優先順位を間違えず、意思決定の質を高める仕組みづくりはどう構築すべきか。大手自動車メーカーの事例などをもとにボストン コンサルティング グループ(BCG) マネージング・ディレクター&パートナーの北川寛樹氏と有本憲司氏が解説する。
執筆:BCG マネージング・ディレクター&パートナー 北川 寛樹・有本 憲司

BCG マネージング・ディレクター&パートナー 北川 寛樹・有本 憲司

BCG マネージング・ディレクター&パートナー 北川 寛樹
同志社大学商学部卒業。複数のグローバルコンサルティングファームを経て現在に至る。BCG オペレーション・プラクティスの日本リーダー。大阪オフィス管掌。産業財、消費財、ヘルスケア、運輸物流業界を中心に、オペレーション改革、デジタル改革のプロジェクトを多く手掛けている。共著書に『BCGが読む経営の論点2025』『BCGが読む経営の論点2024』(日本経済新聞出版)。

BCG マネージング・ディレクター&パートナー 有本 憲司
東京工業大学工学部卒業、同大学大学院修了。グローバルコンサルティングファームを経て現在に至る。BCG テクノロジー&デジタルアドバンテッジ・プラクティスのコアメンバー。金融、保険、通信、エネルギーなど、さまざまな業界の企業に対して、主にデジタル戦略・IT戦略を中心とした支援を行っている。共著書に日経MOOK『BCGデジタル経営改革』(日本経済新聞出版)。

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高度経済成長の真っただ中や、バブル経済の1980年代とは異なる価値を打ち出すには?
(Photo/Shutterstock.com)

世界に打って出られる、まねをしたいと思わせる日本に

 ここでは、日本のマーケット全体を組み替えていく視点、すなわち、日本企業の細やかさやすり合わせ能力を考慮しながら、外国企業とは違った形で業界全体をどのように変えていくべきか、国を挙げてどのような活動をしていくべきかを考えたい。

 他国には通用しない独特なアプローチではなく、先進国として、また高齢化社会を先に経験している国であるがゆえのアプローチを構築し、アジア諸国にも輸出できるようなモデルを提言していきたい。

 経済成長はどの政府にとっても共通の目標だが、そのためのアプローチは国の状態やステージによって異なる。欧州の規制主導のグローバル競争や、米国の強力なプラットフォームビジネスの展開、中国の他国への資本的協力と自国経済圏への取り込みとも異なるアプローチで、日本だからこそできうるスキームを作り出すべきだと筆者は考える。

 従来の発想にはない、成熟から生まれる強い組織アプローチを構築し、世界に打って出られる、まねをしたいと思わせる日本を目指し、高度経済成長の真っただ中や、バブル経済の1980年代とは異なる価値を打ち出していくことを検討したい。特にデジタル赤字を抱えていることを踏まえると、米国のGAFAMのような巨大IT企業を今すぐ生み出すことは難しいが、アプリケーションや各機能領域において標準となるものを世界に出す発想と体制が必要である。

多くの欧米企業はすでに業務の効率化・自動化を進めている

 改めて強調したいのは、業界を巻き込んで協調の世界の作り込みを進めること、そしてその高度化を追求するためには、企業独自の業務プロセスにこだわっていては前に進まないということだ。

 図表1で示すように、多くの欧米企業はすでに基幹システムを整備し、同時に意思決定に必要な多くのデータを準備して業務の効率化・自動化を進めている。さらに生成AIを活用し、効果を得ることに集中している。

画像
図表1:欧米企業と日本企業のデータ活用や業務高度化の進展
(出所:ボストン コンサルティング グループ)

 日本企業が遅れを取り戻すためには、むだなデータ整備や無理なシステム統合にとらわれず、意味のあるデータの整備に集中し、業務効率を上げるための自動化を実践することが必要だ。同時に生成AIなどの活用を通じて事業会社もIT・デジタルを本業で扱う、つまり図表の右上へと上昇していくことが重要だと考える。 【次ページ】既存プロセスにこだわる日本企業は認識を改めるべき
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