- 2022/02/03 掲載
長期金利、上下0.25%の範囲内なら問題視せず=若田部日銀副総裁
[東京 3日 ロイター] - 日銀の若田部昌澄副総裁は3日、和歌山県金融経済懇談会後の記者会見で、長期金利の足元の上昇について、誘導目標ゼロ%に対してプラスマイナス0.25%の許容変動幅の枠内の動きであれば問題視せず、金融政策の修正は「全く考えていない」と述べた。
若田部副総裁は午前のあいさつで、物価目標の達成には中長期のインフレ予想が2%に定着するかどうかが重要になると指摘。「日本では、中長期のインフレ予想はショックに対して反応しており、いまだ2%にアンカーされていない」とし、金融緩和の継続が適切な政策対応になると話した。
昨年12月積み期、三菱UFJ銀行の日銀当座預金の一部に初めてマイナス金利が適用された。若田部副総裁は「マイナス金利政策の副作用が顕現化しているとは思っていない」と述べ、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正も考えていないとした。
<危機対応の終了と「量」のコミットメント>
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて創設した資金繰り支援のコロナオペについて、日銀は4月以降、中小企業支援に特化する形で縮小する。これに伴い、これまで過去最高水準で推移してきたマネタリーベースは縮小が見込まれる。
若田部副総裁は、マネタリーベースの縮小は「危機対応の終了に伴うもので、一巡すればこれまでのトレンドに戻っていく」と説明。
消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比伸び率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するとした「オーバーシュート型コミットメント」は「中長期的に(マネタリーベースを)伸ばしていくというコミットメントだ」と述べた。
物価の上昇・下落が貨幣数量の増減に比例するとする「貨幣数量理論」については「いつの時点でも必ず成り立つわけではないが、中長期的に見ると物価と貨幣数量の関係は大事だという想定は正しいと思う」と話した。
若田部副総裁はあいさつで、賃金の上昇には経済の過熱を容認する「高圧経済論」が必要だと述べた。日銀の展望リポートでは、2023年度でも物価は2%に届かない見通しになっている。若田部副総裁は「追加緩和を否定するわけでは全然ない」とする一方、「今は議論の段階ではない」と述べた。
(和田崇彦)
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