- 2022/02/03 掲載
アングル:ビットコインに再び勢い、暗号資産では「比較的安全」か
暗号資産の先駆けであるビットコインは2021年に、「ソラナ」や「ポルカドット」をはじめ、何千にも上るオルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)の攻勢を受け、暗号資産市場が急激に分断化する可能性が高まった。
しかしビットコインはこれまで失ったシェアを取り戻し始めている。米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢強化やウクライナ情勢を巡る懸念がある中、シェア首位のビットコインは相対的に安全と見なされ、投資家には魅力に映っている。
コインマーケットキャップによると、1兆6800億ドルに上る暗号資産市場でビットコインが占めるシェアは約42%と、2週間前の39%から上昇。昨年10月半ばに46%のピークを付けて以降、シェアが下降し続けていたが、初めて上向いた。
市場関係者はビットコインのシェア再拡大がトレンドとして定着したと判断するのは時期尚早だと指摘する。ビットコインは競合暗号資産より底堅いが、市場全体は1月に下落したからだ。それでもなお、13年の歴史があるビットコインが競合通貨よりも市場の慎重ムードの恩恵を受けやすい傾向が続くと見る向きもある。
スタック・ファンズ(シンガポール)のマシュー・ディブ最高執行責任者(COO)は「リスクオフが継続するならば、ビットコインは暗号資産市場の流動性を吸収することになるだろう」と予想。
大半の暗号資産は依然としてビットコインに追随しているが、一部のファンドマネジャーは今年は徐々に値動きのかい離、あるいはデカップリング(分断)が起き、さらなる差別化が必要になると見込んでいる。
暗号資産投資会社アルカ(Arca)のジェフ・ドーマン最高投資責任者(CIO)は、22年は昨年に比べて「かなり慎重で微妙な差異を付けた積極戦略」が必要になるだろうとの見解を示した。
<ソラナが「炭鉱のカナリア」に>
暗号資産は年初からのリスクオフ局面で売りを浴びてきた。しかし、ビットコインの1月の下落率は20%と、主要暗号資産の中では最も小幅な下げにとどまった。
ビットコインにとって最大の競合相手であるイーサは34%下落した。
分散型金融の構築で要となるブロックチェーン(分散型台帳)ネットワークで使用されるソラナなどは年初からの下落率がさらに大きい。ソラナは21年に価格が100倍に膨れたが、22年に入ってから47%下落。ポルカドット は41%値下がりしている。
ただ、ビットコインの価格がたったの9日間で半減した21年5月の急落局面に比べれば昨年12月以降の下げは急激ではなく、売買高も膨らんでいない。
一部のアナリストはソラナの21年の急騰と最近の失速を踏まえ、金融環境の変化を知らせる「炭鉱のカナリア」になっていると指摘する。
JPモルガンのアナリストは、ソラナが非代替性トークン(NFT)として使われているため、イーサのシェアを奪う形でシェアを拡大できたと分析。バンク・オブ・アメリカのアナリストは、「デジタル資産エコシステム」でソラナは決済大手ビザのような存在になり得るとの見方を示している。
情報サイト「コインゲッコー」によると、ソラナの時価総額は280億ドルを超えており、暗号資産として世界で7番目に大きい。
スタック・ファンズのディブ氏は「仮想通貨エコシステムでソラナは投機資産となっており、上昇すれば他のアルトコインへの投資意欲も高まる」と指摘。同時に「リスクオフの波が再び起きた場合、ナスダックが5%下落し、暗号資産が急落する可能性がある。暗号資産は価値保存の手段にはまだなっていない」と分析した。
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