- 2022/03/29 掲載
欧米対比弱い物価、データに謙虚に向き合うべき=雨宮日銀副総裁
雨宮副総裁は、日本の消費者物価について、4月以降は昨年の携帯電話通信料引き下げの影響のはく落と、エネルギー価格の大幅な上昇が重なり「2%程度の伸びとなる可能性もある」と指摘した。ただ「それでもなお米欧との差は歴然としている」と述べた。
日本の物価の伸びが欧米に比べて小さい背景として、個人消費におけるペントアップ需要が限定的であることや、物価が上がらないことを前提とした日本固有の企業行動を挙げた。
さらに、雨宮副総裁は「物価指数の計測上の問題も、無視できない影響を与えている可能性がある」と述べた。近年、日本のサービス価格のうち米欧対比で弱めの動きとなっている品目は比較的大きなウエイトを占める家賃と携帯電話通信料であり、「いずれも、精度の高い価格の計測が難しいサービスの代表例だ」と指摘。「統計実務面での各国の違いについても、理解を深めておく価値がある」と語った。
雨宮副総裁は「1980年頃を境に、日米間でインフレ率の逆転が生じ、その後も1980年代後半の景気過熱期も含め日本のインフレ率が米国をコンスタントに下回り続けたのはなぜかについて、腑に落ちる説明はなかなか得られていない」と語り、ワークショップを通じて、物価に対する理解が深まることに期待感を示した。
(和田崇彦)
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