- 2022/03/30 掲載
業績への打撃、長期化も=日野自動車、データ改ざんで信頼失墜
トヨタ自動車グループの日野自動車は、エンジン性能のデータ改ざん問題で、国土交通省から偽装エンジン4機種の型式指定取り消し処分を受けた。搭載車両の出荷はできなくなり、業績への打撃は避けられない。法令順守意識の低さが招いた代償は大きく、失った信頼の回復に向けた道は険しい。
日野自は29日、リコール(回収・無償修理)費用と、不正によって適用を受けた税制優遇額の返納費用で約400億円の特別損失を計上すると発表した。さらに、北米でのエンジン認証の遅れによる販売店などへの補償費用でも追加損失が発生。2022年3月期の連結純損益予想を540億円の赤字(従来予想は150億円の黒字)に下方修正し、2期連続の赤字に陥ると見込んだ。
売り上げの落ち込みも必至だ。取り消し処分を受けたエンジンの搭載車両は、日野自全体の販売台数の4割近くに相当する。日野自は型式の再取得を目指すとみられるが、最低でも数カ月はかかるとされる。該当車両は「来年度1年間は出荷できない」(東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリスト)との見方もあり、23年3月期の業績にも響きそうだ。
日野自は、エンジン性能を偽って型式指定を不正に取得した背景について、数値目標達成のプレッシャーや、エンジン開発と認証の部門が分かれていなかったことなどを挙げている。ただ、責任の所在や組織ぐるみだったかどうかは明らかにされておらず、違法と認識しながら数値の書き換えが行われた理由ははっきりしていない。
日野自は第三者による特別調査委員会で原因究明と再発防止策の策定を急いでいるが、出荷停止やイメージの悪化で顧客離れも予想される。業界関係者は「ここからの信頼回復は本当に大変だ」(自動車大手幹部)と指摘している。
【時事通信社】
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