- 2022/10/25 掲載
円債積み増し、上期よりペース加速 金利急騰リスク上昇なら抑制も=2022年度下期・明治安田生命運用計画
大崎能正・執行役員運用企画部長が25日、運用方針説明会で明らかにした。
今年度の新規財源は3.4兆円。このうち円債に4割程度(約1.36兆円)、海外のソブリン債(為替ヘッジ付き・オープンの合計)に2割程度(約6800億円)、海外クレジット資産(ヘッジ付き)に3割程度(約1.02兆円)、外国投信などの外国株式に1割程度(約3400億円)配分する。
下期もこの配分から大きくは変えないが、海外クレジットはやや少なめ、外国株式等はやや多めとする見通し。
これに償還分を加味した残高ベースでは、「円金利資産の核」と位置付ける円債を積み増す計画。基本は平準買いだが、年度末にかけての金利上昇を見込み「上期4割・下期6割」と下期にやや比重を置いたペース配分を年度初から計画していたため、下期は上期よりも買いペースを加速させる。
ただ、想定外のことが起き金利急騰リスクが高まるような場合には「急いで買わず、金利の基調や上限がはっきり見えたところで買っても遅くない」(大崎氏)として、機動的に計画を変更して投資を抑制するという。
円債投資の主体となる30年国債の利回りは足元で1.685%と、8年ぶり高水準にある。大崎氏は「海外金利につられている部分や日本自体のインフレもあり、超長期の金利が上がっている」とした上で、「ここから想定外の動きが出るとか、国内のインフレに日銀が金融政策を変更する必要があるような数字が出てくるなどがなければ、今の時点ではそれなりに投資妙味がある、買って良い水準だと認識している」と述べた。
外債のうちヘッジ付きソブリン債は、金利やヘッジコスト見合いで投資を行う一方、ヘッジコスト抑制のため低利回り銘柄を売却し、年度末残高としては減少する見込み。為替オープンのソブリン債は、為替や金利の水準次第だが現時点では横ばいの計画。
ヘッジ付きの海外クレジットは残高を増やす方針。米ニューヨーク拠点での直接投資などの態勢を強化し、国・通貨や投資年限の分散を図りつつ積み上げるが、足元のヘッジコスト上昇を踏まえて上期対比では買いペースを落とす。
ドル/円のヘッジコスト(3カ月物の為替予約)は、年度末時点で4.80%と、21年度末の1.04%からの大幅上昇を見込んでいる。
外国投信などの外国株式等はも米拠点を活用しつつ、インハウスと外部委託の両軸の運用体制で残高を増やす。このうち外部委託運用では、株式ファンド、プライベートエクイティ、米国不動産ファンドを積み増す一方、一部ファンドは売却する方針。
国内株式については、中期計画で掲げた23年度までに簿価ベースで1500億円程度の国内株式を売却する取り組みの一環で、残高は前年度に続き減少させる。
投資用不動産は、過熱感が継続する中でも市況を見極めつつ優良物件を厳選して積み上げるが、残高としては横ばいの見込み。
明治安田生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で43兆4710億円。うち外貨建て資産は12兆5975億円(29.0%)。
2022年度下期の相場見通し(レンジと年度末中央値)は以下の通り。
日本10年国債利回り 0.15―0.25%(0.20%)
米10年国債利回り 3.3―4.0%(3.7%)
日経平均株価 2万5000―3万円(2万8000円)
NYダウ 2万8000─3万4000ドル(3万1000ドル)
ドル/円 139―149円(142円)
ユーロ/円 136―145円(139円)
(植竹知子 編集:宮崎亜巳、田中志保)
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