• 2005/08/24 掲載

21世紀、中小企業が日本を変える!(2/2)

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規制緩和や経済特区は、
数多くの問題を抱えていることも


 昨年6月、全国の市町村から1400ほど特区の申請が出されました。各省庁から集められた46人の若手特区担当官がそれを約850件に絞り込み、省庁と交渉していったら最終的には165件しか認められなかった。いかに省庁の反対が強いかということです。
 特区は今324ありますが、実は以前提案されたものの半分はすでに許可されているということがわかったのです。つまり、省庁の地方役人が勉強していなかった。行政の窓口では、間違ったことを指導されているケースもずいぶんあり、これは何とかしてもらわなければなりません。
 もう1つ、規制緩和の内容に問題のある場合もあります。例えば、株式会社でも学校を経営できるようになりました。しかし、審議会メンバーの4分の3は校長達なんです。同業者が増えることを認めるわけはないでしょう。岩手にはどぶろく特区ができましたが、客にどぶろくを提供できる民宿は、自分で米を作っている自作農でなければなりません。民宿は山や海にあることが多く、農家は少ないですよね。また、民宿の建物内でしかどぶろくの販売は認められておらず、隣にある酒屋で売ってもらうといったことすらできません。
 最初の特区担当大臣、鴻池さんは、どぶろく特区を財務省に認めさせようとしましたが、いくら申請しても相手にしてもらえなかった。そこで、塩川大臣(当時)に直訴して、塩川さんが担当官とやり合って、OKを出させたのです。ところが、財務省の役人は農林省と打ち合わせをして、自作農でなければならないように条件を付けてしまった。そんなことがいくつもあります。
 46人の特区担当官は、真剣に特区を全国へ広げようとしている、まさに我々の味方です。彼らと協力し、民間の我々がネット上の週刊誌(前頁囲み記事参照)で特区の情報を中小企業に伝えています。塩川元財務大臣にもこの運動に賛同していただいており、彼のパイプを使って、現場の声を政治・行政へ働きかけているところです。また、先ほど述べた個人マニフェストを議員立法しようという議員の方々を、我々で応援しようという運動も行っています。
 さらに、塩川さんが行政の改善について面白いことをおっしゃっています。彼はかつて東大阪市の助役だった頃、民間からの申請が滞っている場合はその状況を公表するようにしたんです。どの担当者がどういう対応をしたとかね。そうしたら、どんどん行政の対応がよくなっていった。現在、行政トップにも我々の運動に賛同してくださる方がいらっしゃいますので、こういった窓口の対応状況をまずは行政トップに伝え、それでも改善が見られないようであれば公表するという動きを起こそうと考えています。

民間と行政の連携をコーディネートする組織を作る

 現在の内閣が進めている構造改革の1つで、宮内氏が中心になっている民間活性推進委員会のメンバーに、今度私も指名されました。そこで、今年6月、11月に、もう一度規制についての問題を全国から集める予定です。
 今、地方では、行政が積極的にアウトソーシングを進めようとしています。そうではなく、もっと民間のパワーを活用して、地方を活性化して行かなくてはなりません。ところがデータを見ると2つ問題があります。1つは、労働問題。現在役所で働いている人がアウトソーシングに抵抗を感じています。もう1つは、アウトソーシングしたいのに受け手がないということ。それは、民間が育っていないということです。
 フランスやドイツには、民間と行政がうまく連携できるようにコーディネートする組織があります。私は、日本でもそのような組織を作ろうと提言しており、それが機能すれば民間の仕事が増えます。仕事の内容は大企業レベルが請け負うものから、中小企業レベルが請け負うものまでさまざまです。中小企業を活用して、その結果これらの企業が成長すれば、税収が増えて、日本全体も潤います。
 さらに、経済特区など、すでに実行した5000の構造改革を委員会で評価しようという動きもあります。私も評価するのは非常によいことだと思います。しかし、この改革は○、これは×だったといってもしょうがない。どぶろく特区のようにまだまだ改善の余地のある改革についても、中小企業の力を合わせて×を○に変えていくのが、我々の役目です。

中小企業経営者にとって、
これほどチャンスにあふれた時代はない!


 中小企業を経営されている方に申し上げたいのは、ビッグチェンジはビッグチャンスだということです。これを逃す手はありません。「グローバル化」「IT化」「人の心の変化を知る」、この3つの視点から企業を経営していけば必ず成長していきます。志は大きく、一歩一歩現実を歩む。行き先をしっかり決めた志があれば、辛いことがあっても乗り越えられるでしょう。
 規制緩和も進みつつあります。国がこれほど中小企業を応援してくれている時代は今までにありません。あとは、本人の努力次第なのです。

21世紀の風運動

 中小企業を活性化するための提言を行っている「21世紀の風運動」の会(http://www.21kaze.net/)。  同会が発行しているネット週刊誌「吹け!21世紀の風」(無料)では、塩川元財務大臣をはじめとする多くの賛同者がコラムを執筆している。規制緩和や経済特区についての最新情報も見逃せない。  さらに、「21世紀の風運動」が提言する個人マニフェストについての議論が行われ、一般からの意見も募集している。
 21世紀の風を吹かせるのは、ほかでもないあなたなのだ。

『ビジネス特区発見地図―規制緩和をフル活用する全国縦断情報』(かんき出版刊)

「21世紀の風運動」を推進する日本ニュービジネス協議会連合会による、構造改革特区の解説書です。どの法律がどのように緩和されたか、全国236件の事例をもとに詳しく紹介。ビジネスチャンスの宝庫としての情報が満載されています。


個人マニフェスト 7つの提言


1、行政サービスの迅速化・効率化へ、徹底改革を

行政への苦情を受け付けるために、首相(首長)直属の民間独立機関を設置する。
その内容を適時公表し、行政サービスと窓口の迅速化、効率化の徹底を図る。

2、ベンチャー・成長中小企業への積極的支援を

国・地方自治体などによる民間委託事業及び調達発注のうち、その20%を、5年以内に開発された新技術、新サービスの購入に割り当てる。
創業5年間は、法人税を免除する。
30%の税額控除方式により、欧米の水準を超えるエンジェル投資を実現する。

3、貸し渋り・貸しはがしのない、
中小企業向け金融の実現を
中小企業が、自らの努力で強い企業体質、事業構造、利益体質を作りあげるために、金融庁の検査マニュアルを改定する。中小企業の実態にあわせて、弾力的な運用を実現(例えば、元本の自由返済など)。
4、失業者の創業支援と、地域活性化の促進へ

創業の意思を持つ失業者に対し、1年間に限り、100万円の助成金を支給し、地域中小企業センターが支援する。また、創業資金については、政府系金融機関から優先的に融資。コミュニティビジネスを増加させ、地域活性化を促進する。

5、個人保証の束縛からの解放へ

現行の信用保証制度を抜本的に改革し、民間を含めてすべて、個人保証制度から信用保証制度へ移行を促す。政府系金融機関の個人保証制度は、これを撤廃する。

6、女性起業家への特別支援を

国・地方自治体などによる民間委託事業及び調達発注のうち、その5%を目標に、女性起業家に割り当てる制度を確立する。
各金融機関は、女性特別融資枠を創設し、貸出額の5%を割り当てる制度を確立する。
7、創業促進・事業継承のための贈与税を、非課税に

創業促進、事業継承を図るために、2年間の時限立法を創設。起業、第二創業、事業継承に関わる贈与税を非課税とし、高齢者の資産を若年層へ移転できるよう促進する。

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