• 2005/12/29 掲載

「本当に必要な日本の改革」の著者が語る(2/2)

ソフトバンク ビジネス+IT 話題の著者インタビュー

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東アジアの奥の院という
日本人らしい美学の貫き方がある



--日本の現状を、"落日に照らされている"と表現していますが、これは少子高齢化を指しているのでしょうか。

[赤城] それもあります。5人に1人が65歳以上、2050年には3人に1人が65歳以上になるわけですから。それともう一つ、成熟市場を指しています。日本の消費市場にかつてのような活力はありません。我々にはもう、欲しいものなどないのです。

消費文化を崇めている限り、日本の明日はないと思います。構造デフレといった言葉も聞かれますが、まさに、かつてのような成長戦略はもはや描けないと思ったほうがいいでしょう。であるならば、いかに、この落日を楽しむか。そのためには、自然と共生し、スローな豊かさを育んでいた、かつての日本人らしさを取り戻すべきなのです。


--本書では、アジアをキーワードとして挙げています。しかし、北東アジアの緊張やいまだに続く日本の保護政策が邪魔をしていると書かれていますね。

[赤城] 悲しいかな周辺諸国や国連の現状が、日本のナショナリズムを刺激しているわけです。今後の課題は年金と並んで憲法ですが、いかなる憲法を創造するのか。民主党の代表も、自民党以上に右寄りになってしまったいま、リスキーシフトが怖いですよね。私は、高天原という言葉をあえて使っていますが、もはや日本は君臨すべきではない。ひっそりとした豊かさを求めるべきだし、ホーリスティックアプローチを堅持して、日本にしかできない文化と科学技術に特化して研ぎ澄まし、高付加価値産業を育成しなければいけない。

欧米流からは決別し、日本オリジナルのスタンダードを改めて作り上げる必要があると考えています。そのためには今後、IQだけでなくEQ、さらにはSQ、魂の知能指数も上げていく必要があるでしょう。そして、江戸しぐさの生きる、アジアの奥の院とセンター・モザイクからなる国を作り上げ、若者はアジアに散らばり、年寄りたちは、世界のお金持ちたちとともに、里山で元気に暮らす。この本ではそんな未来絵図を提案したかったのです。



『本当に必要な日本の改革』



●執筆者紹介

赤城 稔(あかぎ・みのる)
(株)エフ 代表取締役

1957年、東京都出身。1980年、早稲田大学政経学部経済学科卒業後、ダイヤモンド社を経て、現在に至る。編集者/ライター。著書には『ドキュメント事業承継 次は君だよ』(ダイヤモンド社)、『高濃度ササエキス開発の奇跡』『新旧メディア戦争』(ソフトバンク クリエイティブ)がある。
ほかに編集・取材執筆に携わった書籍は、『自販機マーケティング』(ダイヤモンドフリーマン社)、『週末「株」投資で大儲け』『実況VIVEマーケティング実践講座』(ダイヤモンド社)、『脳型コンピュータとチンパンジー学』(ジャストシステム)、『企業危機の法則』『柔らかい企業戦略』(角川書店)など多数。


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