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  • 2023/07/21 掲載

クラウド版Windows「Windows 365」とは何か? Business/Enterpriseの違いを徹底解説

山市良のマイクロソフトEYE

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「Windows 365 Business」および「Windows 365 Enterprise」が提供する「クラウドPC(Windows 365クラウドPC)」は、最新のMicrosoft 365 Appsのアプリを含む、Windows 10またはWindows 11 Enterpriseのデスクトップへのリモートアクセス環境をすばやく準備し、ユーザーに提供することができる、クラウドベースの仮想デスクトップインフラストラクチャー(VDI)サービスです。ライセンス要件など注意しなければならない部分もありますが、必要なライセンスがなくても30日無料で評価できることをご存じでしょうか。

執筆:フリーライター 山市 良

執筆:フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

photo
Windows 365クラウドPCはWindows 11に正式対応している

Microsoft VDIでサポートされるOSとは

 マイクロソフトはWindows Server 2008 R2 Service Pack(SP)1において、リモートデスクトップサービス(RDS)を大幅に機能強化し、Windows Serverのリモートデスクトップ(RD)セッションホストと、WindowsデスクトップOSをRD仮想化ホストのHyper-V仮想マシンで提供する、2種類の仮想デスクトップインフラストラクチャー(VDI)に対応しました(以下、Microsoft VDI)。

 その後のWindows Serverのバージョンでも機能強化が行われてきましたが、Windows Server 2019以降は注目するべき新機能は追加されていません。

 Windows Server 2016以降のMicrosoft VDIでサポートされるゲストOSのリストには、最新のWindows 11は含まれていません。技術的にWindows 11に対応できないというわけではありませんが、正式なサポートが得られるかどうか不透明です。
リモート デスクトップ サービスにおいてサポートされる構成
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-server/remote/remote-desktop-services/rds-supported-config

何が違う?Windows 365 「Business」と「Enterprise」

 マイクロソフトは2019年9月に「Azure Virtual Desktop」を一般提供して以降、クラウドベースのVDIサービスに注力しています。その直後に大流行した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う、リモートワーク環境のニーズもその後押しをしました。

 オンプレミスにVDI環境を導入するには、サイジングやライセンス、リモートアクセス手段、セキュリティなどクリアするべき検討事項が山積みですが、クラウドベースのVDIサービスであればすぐに導入でき、場所を選ばずどこからでも、安全に利用できます(リモートデスクトッププロトコル(RDP)認証だけでなく、Azure多要素認証を利用できる、条件付きアクセス、閉域網接続など)。

 Azure Virtual Desktopは、従量課金で利用でき、1台のWindows 10/11仮想デスクトップをマルチユーザーで利用できる「Windows 10/11 Enterprise Multi-session」を実行することでコスト削減を図れるという利点がありますが、Windowsイメージの日本語対応(カスタムイメージの作成が必要)や更新管理、ライセンス要件(Windows Enterprise E3/E5やMicrosoft 365 E3/E5など)、複雑さが課題となる場合があります。

 Azure Virtual Desktopの技術をベースに、セットアップや管理を簡素化した「Windows 365クラウドPC」の2021年8月の一般提供は、クラウドベースのVDIの導入の壁を押し下げました。たとえば、Windows 365クラウドPCの自動プロビジョニング機能は、Windows 10/11 EnterpriseとMicrosoft 365 Appsの日本/日本語を含む地域と言語の設定や、ユーザーへのローカル管理者権限の付与に標準で対応しています。

 Windows 365クラウドPCは、30日無料で評価できる試用版が用意されているので、セットアップや管理の容易さや、ユーザーエクスペリエンスやパフォーマンスを導入前に評価することができます。

 「Windows 365 Business」は、製品のプラント価格のページからStandardプラン(2 vCPU、8GBメモリ、128GBストレージ)の無料試用版を1ライセンス、サインアップして使用することができます(画面1)。

画像
画面1:Windows 365 Businessは、Standardプランを30日無料で試用できる

 Microsoft 365サブスクリプションの管理者は、「Microsoft 365管理センター」の「マーケットプレース」から「Windows 365 Business」と「Windows 365 Enterprise」のStandardプラン無料試用版をそれぞれ1ライセンスずつ申し込むことができます(画面2)。

画像
画面2:Microsoft 365サブスクリプションの管理者は、「Windows 365 Business」と「Windows 365 Enterprise」のStandardプランの無料試用版を各1ライセンスずつ申し込み、ユーザーに割り当てることができる
Windows 365 Businessのプランと価格
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows-365/business/compare-plans-pricing

Microsoft 365管理センター|マーケットプレース
https://portal.microsoftonline.com/AdminPortal/Home#/catalog
 Windows 365 BusinessとWindows 365 Enterpriseの違いについては、以下のドキュメントで説明されています。Windows 365 Enterpriseは「Microsoft Intune管理センター」でクラウドPCをセットアップおよび管理し、Azure Active Directory (Azure AD)(注1)参加またはオンプレミスのActive DirectoryとのハイブリッドID環境での利用、閉域網接続(Azureネットワークへの接続)や「Windows Autopatch」による自動的な更新管理、「Microsoft 365 Frontline(2023年7月5日に一般提供開始、無料評価版提供なし、Microsoft 365 Business評価版では評価不可)」(1ライセンスで3台のクラウドPCを作成し、同時アクセスは1ユーザーのみ、パートタイマーやグローバル企業での利用時間帯の違いを利用したコスト削減が可能)や「Microsoft 365 Boot(プレビュー)」(Windows 11のローカルデバイスから直接クラウドPCにログインする機能)など先進機能の提供が含まれ、製品版を利用するにはMicrosoft 365 E3/E5などのライセンス要件を満たす必要があります。

注1:Azure Active Directory(Azure AD)は、「Microsoft Entra ID」に名称変更されます。機能的な変更はありません。これの名称変更に伴い、Azure AD参加も、Microsoft Entra参加と呼ばれるようになります。
New name for Azure Active Directory

 Windows 365 Businessは最大300ユーザーの中小規模企業向けのサービスで、「Windows 365ポータル」によるシンプルな管理が可能な、Windows 365 Enterpriseの機能サブセットであり(カスタムイメージ非サポート、Azure AD参加のみ、Azure仮想ネットワーク非サポート、ユニバーサルプリント非サポートなど)、追加のライセンスを必要としないのが特徴です(ゲストOSライセンス相当が料金に含まれ、その分Enterpriseの同プランより高めの価格設定)。

 Azure Virtual Desktopと比べるとカスタマイズ性が制限されますが、いずれも製品版は月額固定料金で利用できるため(ゲストOSはWindows 10/11 Enterprise+Microsoft 365 Appsのみなど)、コストの見積もりが容易です。
Windows 365 Business とエンタープライズの比較
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/business-enterprise-comparison
 今回は、Windows 365 EnterpriseおよびBusinessのエクスペリエンスを紹介します。いずれも無料試用版で体験可能です。 【次ページ】Windows 365 「Business」「Enterprise」の管理方法を徹底解説

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