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  • 2023/07/21 掲載

クラウド版Windows「Windows 365」とは何か? Business/Enterpriseの違いを徹底解説

山市良のマイクロソフトEYE

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「Windows 365 Business」および「Windows 365 Enterprise」が提供する「クラウドPC(Windows 365クラウドPC)」は、最新のMicrosoft 365 Appsのアプリを含む、Windows 10またはWindows 11 Enterpriseのデスクトップへのリモートアクセス環境をすばやく準備し、ユーザーに提供することができる、クラウドベースの仮想デスクトップインフラストラクチャー(VDI)サービスです。ライセンス要件など注意しなければならない部分もありますが、必要なライセンスがなくても30日無料で評価できることをご存じでしょうか。
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Windows 365クラウドPCはWindows 11に正式対応している

Microsoft VDIでサポートされるOSとは

 マイクロソフトはWindows Server 2008 R2 Service Pack(SP)1において、リモートデスクトップサービス(RDS)を大幅に機能強化し、Windows Serverのリモートデスクトップ(RD)セッションホストと、WindowsデスクトップOSをRD仮想化ホストのHyper-V仮想マシンで提供する、2種類の仮想デスクトップインフラストラクチャー(VDI)に対応しました(以下、Microsoft VDI)。

 その後のWindows Serverのバージョンでも機能強化が行われてきましたが、Windows Server 2019以降は注目するべき新機能は追加されていません。

 Windows Server 2016以降のMicrosoft VDIでサポートされるゲストOSのリストには、最新のWindows 11は含まれていません。技術的にWindows 11に対応できないというわけではありませんが、正式なサポートが得られるかどうか不透明です。
リモート デスクトップ サービスにおいてサポートされる構成
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-server/remote/remote-desktop-services/rds-supported-config

何が違う?Windows 365 「Business」と「Enterprise」

 マイクロソフトは2019年9月に「Azure Virtual Desktop」を一般提供して以降、クラウドベースのVDIサービスに注力しています。その直後に大流行した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う、リモートワーク環境のニーズもその後押しをしました。

 オンプレミスにVDI環境を導入するには、サイジングやライセンス、リモートアクセス手段、セキュリティなどクリアするべき検討事項が山積みですが、クラウドベースのVDIサービスであればすぐに導入でき、場所を選ばずどこからでも、安全に利用できます(リモートデスクトッププロトコル(RDP)認証だけでなく、Azure多要素認証を利用できる、条件付きアクセス、閉域網接続など)。

 Azure Virtual Desktopは、従量課金で利用でき、1台のWindows 10/11仮想デスクトップをマルチユーザーで利用できる「Windows 10/11 Enterprise Multi-session」を実行することでコスト削減を図れるという利点がありますが、Windowsイメージの日本語対応(カスタムイメージの作成が必要)や更新管理、ライセンス要件(Windows Enterprise E3/E5やMicrosoft 365 E3/E5など)、複雑さが課題となる場合があります。

 Azure Virtual Desktopの技術をベースに、セットアップや管理を簡素化した「Windows 365クラウドPC」の2021年8月の一般提供は、クラウドベースのVDIの導入の壁を押し下げました。たとえば、Windows 365クラウドPCの自動プロビジョニング機能は、Windows 10/11 EnterpriseとMicrosoft 365 Appsの日本/日本語を含む地域と言語の設定や、ユーザーへのローカル管理者権限の付与に標準で対応しています。

 Windows 365クラウドPCは、30日無料で評価できる試用版が用意されているので、セットアップや管理の容易さや、ユーザーエクスペリエンスやパフォーマンスを導入前に評価することができます。

 「Windows 365 Business」は、製品のプラント価格のページからStandardプラン(2 vCPU、8GBメモリ、128GBストレージ)の無料試用版を1ライセンス、サインアップして使用することができます(画面1)。

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画面1:Windows 365 Businessは、Standardプランを30日無料で試用できる

 Microsoft 365サブスクリプションの管理者は、「Microsoft 365管理センター」の「マーケットプレース」から「Windows 365 Business」と「Windows 365 Enterprise」のStandardプラン無料試用版をそれぞれ1ライセンスずつ申し込むことができます(画面2)。

画像
画面2:Microsoft 365サブスクリプションの管理者は、「Windows 365 Business」と「Windows 365 Enterprise」のStandardプランの無料試用版を各1ライセンスずつ申し込み、ユーザーに割り当てることができる
Windows 365 Businessのプランと価格
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows-365/business/compare-plans-pricing

Microsoft 365管理センター|マーケットプレース
https://portal.microsoftonline.com/AdminPortal/Home#/catalog
 Windows 365 BusinessとWindows 365 Enterpriseの違いについては、以下のドキュメントで説明されています。Windows 365 Enterpriseは「Microsoft Intune管理センター」でクラウドPCをセットアップおよび管理し、Azure Active Directory (Azure AD)(注1)参加またはオンプレミスのActive DirectoryとのハイブリッドID環境での利用、閉域網接続(Azureネットワークへの接続)や「Windows Autopatch」による自動的な更新管理、「Microsoft 365 Frontline(2023年7月5日に一般提供開始、無料評価版提供なし、Microsoft 365 Business評価版では評価不可)」(1ライセンスで3台のクラウドPCを作成し、同時アクセスは1ユーザーのみ、パートタイマーやグローバル企業での利用時間帯の違いを利用したコスト削減が可能)や「Microsoft 365 Boot(プレビュー)」(Windows 11のローカルデバイスから直接クラウドPCにログインする機能)など先進機能の提供が含まれ、製品版を利用するにはMicrosoft 365 E3/E5などのライセンス要件を満たす必要があります。

注1:Azure Active Directory(Azure AD)は、「Microsoft Entra ID」に名称変更されます。機能的な変更はありません。これの名称変更に伴い、Azure AD参加も、Microsoft Entra参加と呼ばれるようになります。
New name for Azure Active Directory

 Windows 365 Businessは最大300ユーザーの中小規模企業向けのサービスで、「Windows 365ポータル」によるシンプルな管理が可能な、Windows 365 Enterpriseの機能サブセットであり(カスタムイメージ非サポート、Azure AD参加のみ、Azure仮想ネットワーク非サポート、ユニバーサルプリント非サポートなど)、追加のライセンスを必要としないのが特徴です(ゲストOSライセンス相当が料金に含まれ、その分Enterpriseの同プランより高めの価格設定)。

 Azure Virtual Desktopと比べるとカスタマイズ性が制限されますが、いずれも製品版は月額固定料金で利用できるため(ゲストOSはWindows 10/11 Enterprise+Microsoft 365 Appsのみなど)、コストの見積もりが容易です。
Windows 365 Business とエンタープライズの比較
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/business-enterprise-comparison
 今回は、Windows 365 EnterpriseおよびBusinessのエクスペリエンスを紹介します。いずれも無料試用版で体験可能です。 【次ページ】Windows 365 「Business」「Enterprise」の管理方法を徹底解説

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