- 2026/03/13 掲載
日本政府、米国の次世代ミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」へ参加
迎撃ミサイルの開発や探知・追尾のための衛星網構築
日本、米国のミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」へ参加
日本政府は3月19日に米国ワシントンで予定されている日米首脳会談で、高市首相からトランプ米大統領に対し、次世代型ミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」への参加を直接伝達する。自衛隊と米軍における機密情報の共有体制を強化し、日米連携による強固な防衛網の構築を進める。主な連携分野は、迎撃ミサイルの共同開発およびミサイルの共同生産、そして飛来する脅威を探知・追尾するための衛星網の構築である。中国やロシアは、レーダーでの探知が遅れ、変則的な軌道で飛来する極超音速滑空兵器の開発と配備を急ピッチで進めている。従来の弾道ミサイル防衛(BMD)システムでは迎撃が困難なこれらの新型兵器に対し、日米両国が技術と資金を拠出し合うことで対処能力を根本から引き上げる。
米国防総省は同システムの構築にあたり、同盟国との相互運用性の維持を極めて重視している。日本による構想への参加は、日米同盟の抑止力を宇宙空間を含む新たな領域へ拡張する意味を持つ。欧州やカナダなどの同盟国においてもゴールデン・ドームへの対応が議論される中、日本はこれに先駆けて参画の意志を明確にし、米国主導の安全保障枠組みにおいて中核的な役割を担う。
防衛範囲は宇宙まで、米国が進める「ゴールデン・ドーム」構想とは?
米国が進める「ゴールデン・ドーム」は、米本土をあらゆる経空脅威から防衛することを目的とした統合防空ミサイル防衛(IAMD)システムである。トランプ大統領が2025年1月の就任直後に大統領令で開発を指示し、同年5月に正式に計画を発表した。当初は「アメリカ版アイアン・ドーム」と呼称していたが、防衛範囲が局地的な迎撃から地球規模の多階層防衛へと拡大したことに伴い、現在の名称に変更した。米国政府は総額約1750億ドルの予算を投じ、2029年末までにシステムを実戦配備する計画を推進している。同システムは従来の弾道ミサイルに留まらず、極超音速滑空兵器、巡航ミサイル、人工知能(AI)を搭載した数百機規模のドローンスウォーム(群制御)など、多様化し複雑化する現代の空中脅威を標的とする。宇宙空間の低軌道に多数のセンサー衛星と迎撃兵器を配置し、地上のレーダー網や通信システムと連動させる多階層の防衛網を敷く。これらを束ねる中核技術として「システム・オブ・システムズ」と呼ばれるアーキテクチャを採用する。個別の探知センサーや迎撃システムを指揮統制ネットワークで有機的に統合し、飛来する脅威の検知から迎撃手段の選択までを瞬時に実行する。開発にはロッキード・マーティンやL3ハリス、パランティアなどの防衛・テクノロジー企業が参画し、指揮統制ハブやソフトウェアのプロトタイプ構築に動いている。
構想の実現には技術的・政治的な課題も存在する。システムを正常に稼働させるためには3.1?3.45GHz帯の電波スペクトルの確保が不可欠であり、国防総省は軍用周波数帯の維持を求めている。また、運用技術(OT)に対するサイバー攻撃を防ぐためのセキュリティ対策も急務となっている。
周辺国の反発も強い。中国はこの構想に対し、米国の先制攻撃の脅威を高め、相互抑止を弱体化させるものだとして非難声明を出した。宇宙空間における軍備競争を激化させ、世界の戦略的安定性を著しく損なうと主張している。ロシアも米国の防衛網を突破可能な新型ミサイルの開発を誇示し、対抗措置を辞さない姿勢を鮮明にしている。日米によるゴールデン・ドームの推進は、こうした大国間競争の緊張をさらに高める要因となる。
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