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  • 2026/04/12 掲載

東芝、量子インスパイアード計算機で速度100倍を実現

量子コンピューターの原理を従来のアルゴリズムで模倣

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東芝は2026年4月7日、量子コンピューターの原理を従来のコンピューターアルゴリズムで模倣する「量子インスパイアード計算機」向けの新しいアルゴリズムを開発したと発表した。非線形動力学における「カオスの縁」と呼ばれる現象を利用した第3世代のシミュレーテッド分岐アルゴリズムであり、従来の第2世代と比較して計算速度を最大100倍に高めた。複雑な組合せ最適化問題において、ほぼ100%の確率で最適な解を見つけ出す精度を達成している。
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(画像:ビジネス+IT)
 今回の技術的ブレイクスルーの核心はカオスの縁という概念の戦略的導入にある。カオスの縁とは複雑系において秩序と無秩序が拮抗する境界領域を指す。従来のアルゴリズムでは、連続変数を用いた動力学システムによるアプローチは並列処理に優れる反面、離散変数を用いるアプローチに比べて解の精度が劣る課題を抱えていた。

 新アルゴリズムは個々の分岐パラメータの非線形制御を導入し、初期条件のわずかな違いがその後の軌道を大きく分岐させるバタフライ効果を定量的に評価して制御する。この状態を維持することで局所解からの脱出を促進し、2000変数規模のイジング問題において10ミリ秒という処理時間で最適解を導き出すことに成功した。

 この処理速度は既存の最高記録を2桁上回る水準となる。開発された第3世代シミュレーテッド分岐アルゴリズムは、金融機関での高頻度取引や動的ポートフォリオ管理、創薬分野における分子構造の探索、物流業界での配送ルートや倉庫内配置の最適化など、膨大な選択肢から最適解を瞬時に導き出す必要がある領域での運用を見込む。

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【図版付き記事はこちら】東芝が調子インスパイアード計算機で速度100倍達成(図版:ビジネス+IT)

 すでに同社の量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」への実装に向けた準備が進められており、外部の量子コンピューティングクラウドサービスを通じた評価検証環境の提供も行われる。応用分野における実装も進展している。

 東芝は量子インスパイアード最適化計算機を自律移動ロボットに搭載する実証実験に世界で初めて成功した。製造後に構成を変更できる集積回路であるFPGA上でアルゴリズムを稼働させ、混雑した環境下における動的な障害物回避をリアルタイムに処理する能力を確認している。

 また、5G基地局向けのリソース制御技術への応用も開発しており、通信ネットワークの通信容量最適化にも当該技術の適用領域を広げている。量子インスパイアード計算機の性能向上は、専用のハードウェアを必要とする実機量子コンピューターの本格的な普及を待たずに、既存の計算インフラ上で社会課題の解決を加速させる手段となる。

 東芝はハードウェアアクセラレーションを活用したシステム検証を進めており、クラウドサービスやオンプレミス環境を通じたソリューション提供の強化を図る。

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