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  • 2026/05/28 掲載

ローマ教皇、AI倫理で初の回勅「AI開発はバベルの塔、人類の傲慢さ象徴」

人間の尊厳を脅かす軍事利用、AI企業による開発競争に強い懸念

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5月25日、ローマ教皇レオ14世は人工知能(AI)の倫理的利用に関する初の回勅「マグニフィカ・フマニタス」を発表した。AI技術の発展を「新たな産業革命」と位置づけ、人間の尊厳を脅かす軍事利用や巨大IT企業による技術独占、利益至上主義に伴う雇用喪失に強い懸念を示し、国際的な規制と人間中心の技術開発を訴えた。
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(Photo/Shutterstock.com/paul saad)

AI倫理で初の回勅「AI進歩は第四次産業革命」

 ローマ教皇レオ14世は2026年5月25日、人工知能(AI)時代における人間の尊厳保護をテーマとした回勅「マグニフィカ・フマニタス(偉大なる人間性)」を発表した。回勅は全世界のカトリック教会に向けた最高レベルの公文書であり、教皇就任後初めての発布となる。教皇はAIの急速な発展を「第4次産業革命」と位置づけ、技術革新がもたらす利便性を認める一方で、人類の共存や意思決定に重大な影響を及ぼす負の側面に厳しく言及した。

 特に軍事分野におけるAI利用や自律型兵器の開発について、人類が暴力的な権力文化へ陥る危機にあると指摘した。トランプ米政権などが提唱する「正当な戦争」という概念を時代遅れと批判し、テクノロジーが自動的に人命を奪う仕組みへの倫理的欠如を非難している。さらに経済・社会面では、少数の巨大テック企業がAI技術を独占し、利益追求を優先する構造を問題視した。人間を単なるデータやアルゴリズムの対象へと矮小化し、深刻な雇用喪失を引き起こすことは社会的災厄であると述べ、技術開発は常に人間の尊厳と共通善に従属すべきだと主張した。

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【図版付き記事はこちら】ローマ教皇レオ14世初のAI回勅「AI進化は第四次産業革命」(図版:ビジネス+IT)

 事態の解決策として、教皇はAI開発を巡る国家や企業の覇権争いに警鐘を鳴らし、外部からの倫理的・批判的視点を取り入れた厳格な国際規制の策定を各国政府に求めている。人間がAIの意思決定プロセスを常に統制し、技術の暴走による民主主義の危機や環境破壊を防ぐ仕組みづくりを急務とした。

 バチカンで行われた発表会には、米AI開発企業アンソロピックの共同創業者クリストファー・オラー氏も同席した。同氏は業界が利益や地政学的な圧力の中で動いている現状を認め、技術を正しい方向へ導くための宗教や人文学を交えた対話の重要性を強調した。また、米国のバンス副大統領も教皇の理念に賛同を表明している。バンス氏は、135年前に産業革命の弊害を警告した回勅「レールム・ノヴァルム」を自身の政治理念の根幹としており、AIと人類の関係性に警鐘を鳴らした今回の新たな回勅が、米国の保守政治においても重要な意味を持つとの認識を示した。

AI開発はバベルの塔、人類の傲慢さの象徴

 今回の回勅は135年前に教皇レオ13世が産業革命の弊害を指摘した回勅レールム・ノヴァルムと強い共通性を持つ。両時代ともに技術や経済の急伸に伴い少数の資本家や巨大プラットフォーマーへ富と権力が極端に集中する事態が生じた。労働者が劣悪な環境で機械の歯車として扱われた過去と同様に現代でも極端な効率化により雇用喪失が懸念され労働者が単なるデータとして最適化される搾取の構造が存在する。教皇は技術革新を市場に委ねるだけではなく人間の尊厳と共通善に従属させる道徳的なルールづくりが不可欠だと主張した。

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