- 2026/10/09 20:00 掲載
米SpaceXが全米規模の周波数帯を取得、携帯通信事業参入へ
全米を網羅する800MHz帯の周波数利用権を取得
SpaceXが800MHz取得で、携帯通信事業に本格参入
この周波数は、グレイン・マネジメントが2026年8月に29億ドルの現金と自社保有の600MHz帯との交換によってT-Mobileから取得したものである。両社から取引額は公式には発表されていないが、各メディアの取材により現金による約80億ドル規模の買収であると報じられている。買収手続きを完了させるには米連邦通信委員会の承認が必要となる。 スペースXはこれまで、Starlink Mobileの通信容量を確保する目的でグローバルな2GHz帯を利用してきた。新たに獲得する800MHz帯のような低周波数帯は波長が長く、建物の壁や樹木といった物理的な障害物を透過しやすい特性を持つ。これにより、屋内空間や従来の通信圏外エリアに対しても安定して電波を届けることが可能となる。衛星網と地上の基地局や屋上アンテナなどのインフラを組み合わせたハイブリッド型の通信ネットワークを構築し、既存のスマートフォンに向けて直接サービスを提供する。現在流通しているモバイル端末の大半がこの800MHz帯に標準で対応しているため、利用者は専用の衛星通信端末を別途購入することなくサービスに接続できる。
米連邦通信委員会は同週に、スペースXに対して2GHz帯に最適化された次世代衛星群1万5000基の打ち上げを正式に承認した。通信帯域幅を従来の100倍以上に拡張するこれらの衛星群と地上ネットワークインフラが統合されることで、同社は米国の主要な既存通信事業者と本格的に競合する立場となる。スペースXと競合する衛星通信事業者のAST SpaceMobileもかつて同周波数帯での通信テストを実施していたが、今回の契約によってスペースXが同帯域の利用権を確保した。
スペースXによる低周波数帯取得の発表を受け、AT&T、ベライゾン、T-Mobileといった米国の既存大手通信3社の株価は時間外取引で一斉に5%から7%ほど急落した。これら大手3社は衛星を利用した直接通信サービスを推進する合弁事業を立ち上げたばかりであり、独自の全国網構築に動くスペースXとの間で顧客獲得に向けた競争の激化が予想されている。
戦々恐々の既存キャリア、日本での参入はあるのか?
スペースXによる低周波数帯取得の発表を受けAT&TやベライゾンやT-Mobileといった米国の既存大手通信3社の株価は時間外取引で一斉に5パーセントから7パーセントほど急落した。市場はスペースXの動きを過疎地向けの補完的なサービスではなく都市部や屋内までカバーする全米規模の新たな競合キャリアの誕生と受け止めた。これまで既存キャリアのエリア外補完を中心としていた協力関係から自前の通信網を確保したことで直接顧客を奪い合う関係へと変化している。既存キャリアにとっては顧客流出による減収や解約防止のための費用増加が懸念されている。同社が既存の家庭用ブロードバンドやxAIのチャットボットを組み合わせた割引プランを投入する可能性も指摘されている。一方で地上通信網を構築する際にアンテナや基地局の併設需要が増加するとの予測から米国のタワー事業者の株価は上昇した。
既存キャリア側は取得された14メガヘルツという帯域幅は主要キャリアの保有量に比べて限られており都市部や屋内の通信密度を高めるには膨大な地上タワーの建設コストがかかると指摘している。米大手3社は独自に衛星直接通信に関する合弁事業を立ち上げるなど対抗姿勢を強めている。 米国市場で自社網による直接参入の戦略をとる一方、日本市場においてはKDDIおよび沖縄セルラーと提携し既存キャリアを補完するパートナーシップモデルを展開している。
日本の主要キャリアの地上ネットワークは人口カバー率が高いものの山岳地帯などの地形的制約により地理的エリアカバー率には限界がある。Starlink Mobileは山間部や海上などを空から補完する役割を担う。ユーザーは専用の衛星電話を購入する必要がなく日常使用している標準的なスマートフォンのまま衛星に直接接続できる。圏外エリアにおいてもSMSの送受信や位置情報の共有や緊急地震速報の受信が可能である。2026年8月末からは国際ローミング範囲が拡張され米国やカナダに加えフィリピンやニュージーランドなどでも同等機能の利用が可能となっている。
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