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- 2024/08/01 掲載
NTTやKDDI、ソフトバンク、グーグルも参画「光技術」、Beyond 5Gへ各社の動向とは?
国が注力する「Beyond 5G」の政策動向
Beyond 5Gとは、5Gの「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」といった機能の高度化に加え、「超低消費電力」「超安全・信頼性」「自律性」「拡張性」といった持続可能で新たな価値の創造に資する機能を持つ「5G以降の世代の移動通信システム」を指す。Beyond 5Gは、現行の移動通信システム(無線技術)の延長上だけではなく、有線・無線、光・電波、陸・海・空・宇宙などを包含し、データセンター、ICT デバイス、端末なども含めたネットワーク全体を統合的にとらえられる。
ネットワークから端末まですべてに光通信技術を活用し、現在の100倍の通信速度と100分の1の超低消費電力を実現する技術の確立を目指すことが明記されている。
また、日本が議長国を務めた2023年4月のG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合では、「Beyond 5G/6G 時代におけるG7 将来ネットワークビジョン」について提案し、各国の理解・賛同を得て承認された。
この将来ネットワークビジョンでは、リアルタイム・インタラクティブな活動、エンドツーエンド・大容量・超低遅延、エネルギー効率性と環境への影響、オープン性などの内容が盛り込まれている。
「G7デジタル・技術閣僚宣言)」におけるBeyond 5G/6G 時代におけるG7 将来ネットワークビジョン(要約版) | |
リアルタイム・インタラクティブな活動 | Beyond 5G/6G時代には、自動化や遠隔医療など重要なミッションを含むリアルタイムかつインタラクティブな活動が可能になる。 |
エンドツーエンド・大容量・超低遅延 | 無線アクセスネットワークだけでなく、ネットワーク全体のアーキテクチャを考慮し、大容量で超低遅延のサービスを実現することが重要。これにより、高速鉄道や大量輸送システムのネットワーク接続性とデータレートが向上する可能性がある。 |
エネルギー効率性と環境への影響 | データ通信量の増加に伴うエネルギー消費と環境負荷を最小限に抑えるため、ネットワーク全体の消費電力の削減とエコ設計のネットワーク機器開発が重要である。 |
複層的なネットワーク | 地上系ネットワークや海底ケーブルと、低軌道衛星(LEO)や高層大気プラットフォームシステム(HAPS)などの非地上系ネットワーク(NTN)を含む複層的なネットワークの開発・実装が接続性の強化につながる。特にNTNは、発展途上国のデジタル接続の実現に貢献することが期待される。 |
周波数効率性 | セル径の縮小により、高い周波数再利用率を達成でき、Beyond 5G/6Gネットワークのエネルギー消費量を削減する可能性がある。また、データレートと帯域幅の利用率も向上させる。 |
オープン性、相互運用性、モジュール性 | Beyond 5G/6G時代の将来のネットワークにおいて、オープン性、相互運用性、モジュール性が重要な要素となる。これらの要素が、さまざまな技術やアプリケーションの統合と柔軟な対応を可能にし、ネットワークの発展とイノベーションを促進することが期待される。 |
G7 将来ネットワークビジョンなどの動きも踏まえ、オール光ネットワークなどの実現に向けて設立された「OPEN ROADM」や、日本が主体となって立ち上げた「IOWN Global Forumなどのフォーラム標準団体」において、関連仕様の検討や標準化の活動が本格化している。
オール光ネットワークとは、通信ネットワークのすべての区間で光波長を占有することで「大容量」「低遅延」「低消費電力」を実現するネットワークを指す。
国内では、総務省がオール光ネットワークに係る共通基盤技術の研究開発方針の策定やプロジェクトの成果に係る標準化などを含めた普及への方策を検討するため、2024年2月に「オール光ネットワーク共通基盤技術WG」を設置した。
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