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  • 2012/05/08 掲載

ビッグデータ市場の成長を支えるM2Mのセキュリティは万全か

非Webデータの奔流

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矢野経済研究所が4月24日付で発表した資料によれば、国内のビッグデータ市場は2020年に1兆円に達すると予想される。しかし、現在のところビッグデータ市場のメインストリームはWeb上のさまざまなライフログの収集や分析であり、本当の意味での「データ爆発」は起きていないと主張する専門家もいる。ビッグデータ市場が1兆円規模に成長するには、M2MやIoT(Internet of Things)といった非Webデータの奔流がやってくることが前提になっているというわけだ。

ビッグデータ市場成長の条件はM2Mか

 4月24日付けで発表された矢野経済研究所の分析レポートによれば、2011年の国内ビッグデータ市場は、1,900億円規模ながら、システム構築や環境整備への投資が多く、活用範囲もマーケティング目的のBIと、その範囲は限定的であると指摘している。

 長期的には、スマートシティなど社会インフラと強く結びついた分野への応用が広がり、2020年には市場規模は1兆円に達するとみている。

 スマートシティや社会インフラといった文脈でビッグデータが語られるとき、その背景技術として欠かせないのが、M2M(Machine to Machine)やセンサーネットワーク、IoT(Internet of Things)などの非Web系のデータを収集、処理するテクノロジーである。

 これは、見方を変えると、ビッグデータ市場が成長拡大を続けるには、ソーシャルメディアのライフログやWebのトラフィックを分析するだけでは限界があり、制御系ネットワーク、センサーネットワーク、スマートグリッド、RFIDのようなPCやスマートフォン以外の機器のデータ処理まで適用範囲を広げていく必要があると考えることもできる。

 しかし、現状では、これらの応用事例については、実証実験レベルだったり、実用段階にないレベルだったりと、一般的に普及しているとはいえない状態だ。その最大の要因は、コストやインフラ整備の問題である。さまざまな機器のデータをネットワークでつなぐには、多くの場合無線接続がほぼ必須となるが、その通信モジュールの単体コスト、ネットワークインフラを整備するための投資などがネックとなり、どんな機器でもオンライン化するのは簡単ではない。

動き出すM2M市場が「データ爆発」を早める

 と思っていたのだが、最近、あるM2Mの新ソリューションの存在を知った。そのベンダーは、シンプルで安価なプロセッサを使い、0円SIMのような方式にも対応する廉価版の通信モジュールを開発し、SOC(System on a Chip)を進めているという。価格はモジュール単体で数百円というから、従来品の1/10以下である。

 モジュールの機能を削ぎ落としたため、必要な機能はすべてクラウド上で行うというソリューションとなる。機器からセンシングしたデータは基本的な電圧やパルスなどプリミティブなものだけをクラウドに送信するため、ネットワークの帯域もほとんど消費しないため、安価なSIMも使えるそうだ。

 このソリューションが成功するかどうかは不明だが、数千円の商品にも組み込める通信モジュールが市場に投入されれば、M2M市場がいまより活性化する可能性はあるだろう。そして、技術的な障害がなく、単純にコストや市場の問題だけの場合、同様なソリューションは今後もでてくると予想され、通信モジュールの低価格化や専用チップの市場投入は今後も広がってくるだろう。そう考えると本当の意味での「データ爆発」は、意外と早い段階で顕在化してくるかもしれない。

【次ページ】M2Mセキュリティの考え方

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