- 2022/12/01 掲載
利上げ幅縮小「12月にも」、最終到達点はやや高く=FRB議長
[ワシントン 30日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は30日、「早ければ12月にも」利上げペースを縮小する可能性があると述べた。一方、インフレとの戦いはまだ終わっておらず、最終的にどの程度の利上げが必要か、いつまで続くのかなど、重要な疑問な残っていると注意を促した。
ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所で講演した。
パウエル議長は「インフレ引き下げに十分な金利水準に近づくにつれ、利上げペースを緩やかにすることは理にかなっている。その時期は、早ければ12月米連邦公開市場委員会(FOMC)で訪れるかも知れない」としながらも、この問題は「インフレ抑制に向けてさらにどの程度の利上げが必要か、また、制約的な水準で政策を維持する必要がある期間はどの程度かという問題に比べれば、はるかに重要性が低い」と指摘。インフレ抑制に向けてまだやるべきことが残っていると強調した。
利上げペースを緩やかにすることは、過度の引き締めリスクを低減させるよい方法だとした。
ターミナルレート(利上げの最終到達点)の推測は示さなかったが、9月の政策金利見通し(ドットチャート)で示した4.6%より「やや高く」なる可能性が高いと述べた。
パウエル議長はインフレ抑制のため「しばらくの間、制限的な水準で政策を維持する必要がある」とも述べ、景気減速に伴いFRBが来年から利下げに踏み切るとの市場の見方をけん制。
来年のインフレ減速を示す指標もある中、「物価の安定を取り戻すには長い道のりがある。過去1年間の金融引き締めや成長率の鈍化にもかかわらず、インフレ率の鈍化に明確な進展は見られない。目標を完遂するまでこの方針を維持する」と表明した。
また、モノのインフレが緩和している一方で、住宅コストは来年まで上昇し続ける可能性が高く、サービスの主要価格指標も依然として高いほか、労働市場は逼迫している点を指摘。「経済活動の伸びは長期トレンドを大きく下回るまで鈍化している」ものの、インフレが減速するためにはこの基調が持続する必要があるとした。「モノの生産のボトルネックは緩和され、モノの価格インフレも緩和されているように見えるが、これも継続しなければならない」と述べた。
一方、来年後半には住宅サービスのインフレ率が下がり始めるとの見通しを示した。ただ、この日に米労働省が30日に発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)で、失業者1人当たりの求人件数が1.7件とのデータを挙げ「これまでのところ、労働需要はわずかな緩和の兆候しか見られない」と指摘。「いくつかの有望な進展は見られるが、われわれ物価の安定回復に向けた長い道のりを歩んでいる」と述べた。
また、FRBのバランスシート圧縮(QT)については、2019年のオーバーシュートともとらえられるようなものではなく、経済に影響を及ぼさない範囲にとどめたいとの認識を示した。
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