- 2023/02/08 掲載
米貿易赤字、22年12月は10.5%増 財輸出10カ月ぶり低水準
[ワシントン 7日 ロイター] - 米商務省が7日発表した2022年12月の貿易赤字は前月比10.5%増の674億ドルとなった。輸入が回復した一方、輸出が一段と減少した。特に財(モノ)の輸出が世界的な需要減と原油安を反映し、10カ月ぶり低水準となったことが影響した。
11月の貿易赤字は従来の615億ドルから610億ドル(21.1%減)に修正された。12月の増加で11月の減少分の約半分が相殺されたことになる
22年の貿易赤字は9481億ドルと21年の8450億ドルから拡大し、過去最高を更新。国内総生産(GDP)に占める割合は3.7%と、21年の3.6%から上昇した。
22年は、輸出が4531億ドル増の3兆ドル、輸入が5561億ドル増の4兆ドル。
国別の財の貿易赤字は、対カナダが316億ドル増の816億ドル、対中国が294億ドル増の3829億ドル。
キャピタル・エコノミクスの米国担当エコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「内需と外需の双方が引き続き低迷していることが示された」と指摘。FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「貿易の流れは変化し、経済成長を促進する方向に、もはや強く流れていない」とし、「経済は低迷していないものの、今回の貿易赤字の数値を見る限り加速する公算は小さい」との見方を示した。
12月の輸入は1.3%増の3176億ドル。財の輸入が1.8%増の2588億ドルだった。
消費財の輸入は41億ドル増加。中国からの携帯電話端末の輸入増などで押し上げられた。自動車・部品・エンジンの輸入は29億ドル増。
一方、原油を含む工業品・素材の輸入は27億ドル減の596億ドルと、21年10月以来の低水準。インフレ調整後の工業用品の輸入は21年5月以来の低水準となった。
12月の平均原油価格は1バレル=75.24ドル。11月の79.86ドルから低下し、1月以来の安値を付けた。
サービスの輸入は3億ドル減の588億ドル。旅行、運送が低調だった。一方、知的財産使用料は2億ドル増加した。
輸出は0.9%減の2502億ドル。財の輸出は1.7%減の1681億ドルと、主に原油安を反映し2月以来の低水準となった。
産業用品と素材の輸出は31億ドル減。原油は8億ドル減少した。消費財は10億ドル減。ただ、食料品は7億ドル増加した。
サービスの輸出は7億ドル増の820億ドルと、旅行、運輸などに押し上げられ過去最高。この結果、サービス貿易の黒字は19年12月以来の高水準となった。
シティグループ(ニューヨーク)のエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「中国の経済活動の再開を受け、中国人観光客や留学生が米国に戻ってくれば、サービス輸出の増加につながる可能性がある」とし、「サービス貿易は向こう数カ月間、重要な注目点になる」と述べた。
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