- 2023/04/07 掲載
10兆円超えもいら立つ大株主=ヨーカ堂改革、理解得られず
セブン&アイ・ホールディングスの売上高が国内小売業で初めて10兆円を超えた。ただ、けん引したのは海外コンビニ事業。国内では十分な相乗効果が発揮できない非中核事業を多く抱える。「物言う株主」は傘下のスーパー大手イトーヨーカ堂(東京)の改革にもいら立ちを隠さず、5月の定時株主総会に向けて圧力を強める。
セブン&アイは先月、経営不振のヨーカ堂について、3年後までに30店超を閉鎖すると決断。祖業の衣料事業からの撤退も打ち出した。
しかし、グループからの切り離しを求めてきた大株主の米投資ファンド、バリューアクト・キャピタルは「市場に混乱と失望を与えた」と批判。「ガバナンス(企業統治)の失敗に責任を負う」として、セブン&アイ取締役14人のうち井阪隆一社長ら4人の続投を認めないとする株主提案を突き付けた。
井阪社長は、6日の記者会見でヨーカ堂の改革プランを実行することが「一番重要だ」と述べた。バリューアクトが回答を求めていた企業価値向上策などの質問には正面から答えず、経営側の役員選任案が固まる今月中旬に最終回答するとかわした。
非中核事業では、不振が続く百貨店子会社そごう・西武(東京)が海外ファンドへの売却手続き中。旗艦店である西武池袋本店に家電量販大手ヨドバシカメラを出店しようとする海外ファンドの計画への地元などの反発は強く、譲渡手続きが完了していない。
セブン&アイは6日、高級衣料品店を展開するバーニーズジャパン(東京)の譲渡も公表し、非中核事業の売却を進めている姿勢は強調した。しかし、大株主が求めるコンビニ事業への経営資源集中とは開きが大きく、対立は続きそうだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕セブン&アイ・ホールディングス(HD)本社に掲げられているロゴ=東京都千代田区
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