- 2023/04/10 掲載
黒人の失業率が過去最低、3月米雇用統計 先行きには不透明感
パウエル連邦準備理事会(FRB)議長はわずか1カ月前、民主党急進派の議員らから、雇用拡大にブレーキをかけようと試みることで歴史的に脆弱な黒人などを雇用喪失のリスクにさらしていると痛烈に批判された。
ただ、3月の雇用統計ではまだそのような兆候はみられなかった。黒人の失業率は0.7%ポイント低下と、2021年11月以降で最大の改善となった。
白人と黒人の失業率の差も1.8%ポイントと、統計開始以来最も小幅になった。
しかし、米国全体の失業率は1960年代以来の低水準に迫っており、これ以上の改善余地は限られているかもしれない。問題は、今後数カ月間の雇用市場の軟化に伴って白人と黒人の失業率の差が維持されるのか、あるいは過去の景気後退期と同様に黒人やヒスパニック系が相対的に悪化ペースが速くなるのかとなる。
労働市場の純流入と労働参加率がともに改善するなど、雇用循環の後期を示す兆候も増えている。
また、建設部門など金利上昇の影響を最も受けやすいセクターの雇用に黄信号がともり始めた。
雇用増の大部分は、FRBにとってインフレ要因として最も厄介な分野からもたらされており、インフレ抑制のためにさらなる引き締めを余儀なくされる可能性を示唆している。
こういったデータは、黒人労働者にとって3月の雇用増が潜在的に脆弱であることを改めて浮き彫りにしている。1970年代以降の米国の景気後退局面で毎回、黒人の失業率は白人を少なくとも2%ポイント上回るペースで悪化している。
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