- 2023/04/10 掲載
低PBR企業、中長期的視点で価値向上を=日本取引所グループCEO
<低PBR企業、中長期的な施策を>
東証は3月31日、市場区分の見直しに関するフォローアップ会議で、上場企業の経営者に資本コストや株価を意識した経営を要請する通知案を提示した。プライム市場では約半数が、TOPIXでは約4割の企業がPBR1倍を下回っており、欧米市場と比較してもその比率が高い。
山道CEOはこうした企業について、自社株買いによって自己資本利益率(ROE)を改善させるなど短期的な手法でPBRの改善を図るのではなく、「中長期で効果が現れるような人的資本への投資や設備投資、研究開発費の増加などを(企業側に)考えてもらいたい」と述べた。
「PBRを絶対視しているわけではない」とした上で、各企業が経営レベルで現状分析を行い適切な方策を開示することで、投資家と建設的な議論ができるよう好循環を作ってほしいと話した。
<プライム市場の銘柄数、絞り込み考えず>
プライム市場には現在1835社(4月4日時点)が上場しており、マーケットでは海外と比べて最上位市場の銘柄数が多すぎるとの指摘もあるが、山道CEOは「今後、上場基準を改めて数を減らすことは考えていない」という。
昨年4月の市場区分見直しについて山道CEOは、各市場の特徴を明確にすることと持続的な企業努力を促す仕組みを作ることを主眼に置いたと説明。機関投資家の投資行動に市場の銘柄数はさほど影響しないとの見方を示したほか、制度を何度も変更すると企業側の負担が増える可能性もあると指摘した。
<高まる日本市場への関心>
山道CEOによると、政府が海外渡航者に対する水際対策を緩和し2月以降は海外投資家との対話も急増している。市場の大きさや成長力の観点からこれまで海外投資家の関心は中国に集まりがちだったが、ロシアによるウクライナ侵攻や台湾有事の可能性など地政学リスクが高まっていることで、日本市場にも目が向いているという。
山道CEOは、日本市場の規模の大きさや政治体制、さらには規制の安定がより評価され、「(海外投資家が)日本を見る目は2―3年前と比べて変わっている」との見方を示した。
※インタビューは7日に実施しました。
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