- 2023/05/11 掲載
米議会は債務上限引き上げを、G7は中国の威圧に対抗=財務長官
[新潟 11日 ロイター] - イエレン米財務長官は11日、31兆4000億ドルの連邦債務上限を引き上げ、前例のないデフォルト(債務不履行)を回避するよう米議会に呼びかけた。米国がデフォルトに陥れば、世界的な景気低迷につながり、世界経済における米国のリーダーシップを損なうことになると警告した。
新潟市で開催される主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を控えた記者会見の準備原稿で述べた。
「デフォルトは、過去数年間われわれが懸命に取り組んできたパンデミック(世界的大流行)からの回復の成果を脅かすことになる。そして世界的な景気低迷を招き、われわれはさらに後退するだろう」と指摘。
また「世界経済における米国のリーダーシップを損なう恐れがあるほか、国家安全保障上の利益を守る能力にも疑問が生じる」とした。
この問題に対する共和党の瀬戸際戦略は「われわれ自身が作り出した危機」であり、デフォルトの脅威があるだけで米国の信用格付けの引き下げにつながる恐れがあるとの認識を示した。
住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの金利が上昇する可能性があり、6月1日頃に期限を迎える債務は既に金利が急上昇していると述べた。
<G7は世界経済やウクライナ支援などが焦点に>
G7会合について、世界経済を強化しインフレを抑えるための行動、ロシアの侵攻からウクライナを守るための支援の再確認、経済の回復力を高めるための長期的な取り組みなどが優先事項になるとした。
G7の大半で総合インフレ率が前年比で低下し成長見通しが改善したことに言及し、世界経済は下振れリスクがあるものの、6カ月前の大方の予想よりも良い状態を保っていると評価した。
米地銀3行の経営破綻を受けて米当局は銀行システムの信頼性を強化するための措置を講じたほか、インフラ、代替エネルギー、半導体への投資に関する法案を制定したと述べた。
同時に途上国を支援することも重要だとし、債務危機にある国に対して「タイムリーで包括的な」債務処理を進める取り組みをG7が調整するとした。
他のG7メンバーと協力して長期的に経済の回復力を高めると表明。そのために重要な商品の国内生産を促進し、途上国が国際供給網における地位を拡大するのを支援していくと説明した。
これは「(途上国が)単なる採掘産業から、国内経済と雇用により寄与する活動」に移行するのを支援することを意味すると述べた。この取り組みはG7の「グローバル・インフラ投資パートナーシップ」を通じた6000億ドルの投資が基礎になるという。
<中国の「経済的威圧」に対抗>
またG7は地政学リスクの軽減や経済的威圧に対抗するための活動も継続するとし、外国の競争相手を支配しようとする中国の行為に対して米国は立ち向かうと述べた先月の講演に言及した。
イエレン氏は会見で、中国が他国に対して経済的威圧を用いることへの米国の懸念をG7の多くの国が共有しており、対抗手段を検討していると明らかにした。
米政府は対中投資に対して的を絞った制限を課す可能性を検討しており、G7でもこれまでに議論したと語った。米国は手段を最終的に決定しておらず、この問題に関してパートナー国と協調して取り組みたいと述べた。
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