- 2023/05/15 掲載
楽天Gが公募増資へ最終調整、3000億円規模を想定=関係筋
[東京 15日 ロイター] - 楽天グループが、公募増資に向けて最終調整していることが分かった。関係筋2人が明らかにした。3000億円規模を想定しているが、今後の株価次第で変動する可能性がある。携帯電話事業の投資負担で最終赤字が続き、財務基盤の立て直しを急ぐ。
関係筋の1人によると、週内にも取締役会を開き決議する。公募増資に加え、第三者割当増資で三木谷浩史会長の資産管理会社なども資金を出す。関係筋2人によると、楽天Gは調達した資金を携帯電話の基地局整備や社債の償還資金に充てる。
楽天Gの時価総額は5月12日終値で1兆1258億円。市場は11日に発表したKDDIとの提携拡大で見込む設備投資費用の削減効果などを好感し、15日の株価はさらに5%超上昇している。
楽天Gの広報担当者はロイターの取材に対し、回答を差し控えるとした上で、「財務戦略にかかる様々な手段を従来より検討しているが、現時点で当社として何ら決定した事実はない」とコメント。「公表すべき事実が決定され次第、速やかに公表する」とした。
楽天Gは携帯電話事業に参入した2018年以降、4年連続で最終赤字を計上。22年12月期は過去最大となる3728億円の赤字となり、18年12月期に10%を超えていた自己資本比率は4%まで悪化した。格付投資情報センター(R&I)は3月、同グループの発行体格付けを「トリプルBプラス」へ引き下げた。
12日に発表した2023年1─3月期決算も825億円の最終赤字だった。4月の楽天銀行上場で700億円超の利益を計上するほか、保有していた西友株を220億円で売却することを合わせて発表したが、基地局建設に充てるために発行した社債や劣後債残高は9000億円規模に上る。24年だけで3000億円程度の社債償還を迎える。
楽天Gは金融や旅行、電子商取引事業が好調で、1─3月期の連結売上高は前年同期比9.3%増の4756億円だった。一方、携帯電話事業は設備投資がかさみ、赤字が続いている。今後はKDDIの回線利用を拡大し、基地局への投資負担を抑制するなどして早期の年間黒字化を目指すが、12日に開示した決算短信では年内の単月営業黒字化は困難との見方を示した。
(浦中美穂 取材協力:サム・ナッセイ 編集:久保信博、デイビット・ドラン)
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR