- 2023/05/17 掲載
アングル:日経3万円、割れる今後の見方 「全員参加型」ではない海外勢
[東京 17日 ロイター] - 日経平均が3万円の大台を回復したが、今後について市場の見方は割れている。内需回復が日本株選好の流れを支えるとの期待がある一方、欧米や中国経済が減速すれば影響を免れないとの警戒も根強い。日本株を押し上げた海外勢の買いも「全員参加型」ではないとされ、過去の株高局面とは異なるとの指摘も出ている。
<遅れた内需回復>
内需が日本経済を押し上げている。17日朝に発表された1─3月期実質国内総生産(GDP)1次速報は前期比0.4%のプラス成長となった。外需寄与度は0.3%のマイナスだったが、新型コロナ禍からのリオープン効果が海外より遅れて発生しており、内需寄与度は0.7%のプラスとなった。
企業業績も堅調だ。SMBC日興証券の集計によると、TOPIX(東証株価指数)を構成する3月決算企業の2024年3月期の通期純利益予想(開示率98.8%)は前年比2.6%増と過去最高を更新する見通しだ。
こうしたファンダメンタルズの「裏付け」を評価した海外勢の買いが日本株押し上げの原動力だ。足元では先物より現物の買いが多く、「腰の座った資金が入ってきている可能性がある」(国内運用会社のファンドマネージャー)との声が出ている。
日本取引所のデータでみると、過去1年では現物が8200億円の売り越し、先物が8700億円の買い越しだったが、4月は現物が2兆1500億円の買い越しで、先物が8800億円の買い越しだった。
<マクロ系HFは売りか>
ただ、その海外勢の買いも「全員参加型」ではないとの指摘もある。
JPモルガン証券の高田将成クオンツ・ストラテジストによると、足元の海外勢の買いは、CTA(商品投資顧問業者)や、米著名投資家バフェット氏の日本株に強気な見方を背景にした個人投資家が中心だという。一方、ファンダメンタルズ(経済情勢)重視のマクロ系ヘッジファンドは売りが目立つと指摘する。
CTAや海外の個人投資家は、上昇基調のトレンドや足元の堅調な日本経済を好感して買いに動いている一方、マクロ系ヘッジファンドは今後の海外景気減速による悪影響を警戒している可能性がある。
「過去に日本株が大きく上昇した局面では、外部要因を背景にトレンド重視の投資家と経済重視の投資家が揃って買い上げ、一段のポジション積み増しが可能だったが、今回は異なるようにみえる」(高田氏)という。
海外勢の日本株投資は20年に6.1兆円、21年2.4兆円、22年4.8兆円と、それぞれ売り越しだった。「買い戻しは始まったばかり」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長)とみることもできる。
ただ、日本は「世界の景気敏感株」と位置付けられており、グローバル経済が減速する局面でも、海外勢が消去法的に買い続けてくれるかは不透明感が強い。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは、決算シーズンが終わり手掛かりが減る中、いったんは上昇が落ち着くとし「(日経平均の)3万円タッチ後は、いったんボックス相場に移行するのではないか」とみている。
(平田紀之 編集:伊賀大記)
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