- 2023/05/23 掲載
携帯大手各社、メタバース本格展開=1万人同時接続も可能―収益化に課題
NTTドコモなど携帯大手各社がインターネット上の仮想空間「メタバース」のサービスを本格的に展開している。ドコモはメタバースなどに特化した子会社を昨年設立。KDDIは今年3月から新サービスの提供を始めた。1万人のアバター(分身)が同時接続できる機能など各社はサービスの差別化を進めており、利用者の呼び込みや定着に躍起だ。ただ、サービスが乱立する中、事業をどう収益に結び付けるか課題も多い。
ドコモは昨年、メタバース事業などに特化した子会社NTTコノキューを設立した。同社のメタバースはアプリをダウンロードする必要がなく、スマートフォンやパソコンなどで手軽に無料で体験できる。ゴジラが別の怪獣と戦っている様子を再現した空間などを提供し、利用者は空間内にアバターとして入り込んで大きさを実感できるほか、ゴジラを背景にした写真撮影やファン同士の交流ができる。コノキューの丸山誠治社長は「メタバースはコミュニケーションをより豊かにする技術だ」と期待を込める。
ドコモは一つの空間内で最大1万人のアバターが同時接続できる技術を開発し、2月からサービスを展開している。従来のメタバースでは数十人の同時接続が限界だったが、映像処理の負荷を減らすことで可能となった。大人数が同じ空間に集まるイベントのような雰囲気を仮想空間内でも体験できるのが特徴だ。
KDDIは新たに独自のメタバースを構築し、アプリをダウンロードすれば無料で利用できるサービスを始めた。テキストによる会話がサービスの主流となる中、空間内では音声での交流に限定し、現実空間と似た環境を体験できるよう意識した。
ソフトバンクは、韓国企業などが運営する複数のメタバースにバーチャル店舗を開設。アバターの店員が接客し、発売された最新スマホなどについて説明を聞くことができる取り組みを始めた。
一方で、各社が基本的に無料で展開するメタバースの収益化は大きな課題だ。コノキューでは、大学説明会をメタバースで行うなどビジネス向けも展開しており、企業から利用料をもらうことなどで収益化を見据える。KDDIは、NFT(非代替性トークン)技術を使ったデジタル作品をメタバース上で流通させて手数料を取ることも見据えるなど、各社とも対応を急いでいる。
【時事通信社】 〔写真説明〕メタバース空間上にあるソフトバンクのバーチャル店舗(ソフトバンク提供) 〔写真説明〕超多人数のアバターが同時接続で参加できるNTTドコモのメタバース空間=2月1日、東京都港区 〔写真説明〕NTTコノキューが提供するゴジラの迫力を味わえるメタバース空間=4月21日、東京都千代田区
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