- 2023/05/31 掲載
不正発覚で電動化に遅れ=「単独で戦うのは難しい」―日野自動車
エンジンの認証不正に揺れた日野自動車と、三菱ふそうトラック・バス(川崎市)の経営統合が決まった。日野自の小木曽聡社長は「不正への対応とカーボンニュートラル(脱炭素化)を同時に実現するには日野単独では厳しい」と率直に話した。不正で巨額赤字に転落した日野自は、出遅れた電動化や自動運転など「CASE」と呼ばれる次世代技術への取り組みを、三菱ふそうの親会社である独ダイムラートラックの力も借りながら加速させる。
日野自で昨年3月に不正が発覚して以降、同社が再発防止や出荷停止となったトラックの販売再開などに奔走する間、トラック業界では三菱ふそうやいすゞ自動車などのライバルが電気自動車(EV)のトラックを発表するなど矢継ぎ早に電動化戦略を打ち出した。
ダイムラートラックのマーティン・ダウム最高経営責任者(CEO)は「同時に複数の新しい技術に投資するのは業界トップ企業でも大変。規模の経済こそ大事だ」と語り、親会社も含めた4社の協業が日本やアジアでの競争力強化につながると強調。日野自が強みとする大型トラックを長距離走らせるのに有望な水素技術やCASEへの技術開発を同時に進める狙いだ。
ただ、統合する2社の国内シェアは、いすゞと同社が傘下に置くUDトラックス(埼玉県上尾市)の合計に迫る勢い。インドネシアなど東南アジアでの販売シェアが高く、独禁法に抵触しないよう各国当局から認可を得ることが今後の課題となる。両社はそれぞれのブランドを維持した上で持ち株会社をつくるが、外資系傘下の三菱ふそうと、古い企業体質の残る日野自では社風が大きく異なり、両社の「融合」も焦点となりそうだ。
一方、トヨタはいすゞにも出資。国内商用車メーカーと全方位で連携し、水素技術の浸透を図る。
【時事通信社】
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