- 2023/06/12 掲載
災害リスク予測へ新サービス=自治体・企業に、豪雨・台風備え―損保大手
損害保険大手で、災害リスクを予測して被害の軽減や防災行動につなげるサービスを手掛ける動きが相次いでいる。近年、大規模豪雨や台風など自然災害が多発する中、気象情報会社などと提携し、災害発生時に予想される被害を速やかに把握するシステムを開発。企業や自治体向けに有償で提供している。
損害保険ジャパンは今年4月から、最大72時間先のリスクを管理するシステムを自治体や企業に販売している。豪雨・強風の発生地域、自社拠点がある地域の危険度合いといった複数の予測情報を一元化して見られるのが特長。これにより、企業の物流の変更や自治体の避難指示などで早急な判断が可能になるという。損保ジャパンによると、現在100以上の自治体で利用されている。
三井住友海上火災保険は、昨年4月から同様のシステムを自治体向けに提供している。水害リスクの予測などに加え、人工知能(AI)を用いて災害発生後の被害規模を推定。住民の避難誘導などに役立てるようにした。既に愛媛県などで導入されている。
東京海上日動火災保険は、解像度の高い航空写真から台風や突風による建物のリスクを診断するサービスを企業向けに始めた。自社の持つ事故データも活用しながら、人の目で確認しづらい屋根などに修繕が必要な部分があるかどうか特定。強風による災害リスクに備える。今年度に100社程度が導入する見込みとなっている。
自然災害を巡っては、今月も台風2号と梅雨前線による記録的な大雨が各地に被害をもたらした。自治体や企業にとっては被害予測や防災体制の整備がより重要となっており、「災害リスクを予測するシステムの引き合いは強まっている」(損保ジャパン)のが現状だ。また、既に導入している自治体や企業からは「スマートフォンでも閲覧可能にしてほしい」といった要望が出ているという。
一方、損保会社にとっては、大規模災害が年々多発する中、保険金支払い負担の軽減につながるメリットがあるとされ、各社は今後もサービスの拡充に向けた対応を進める。
【時事通信社】 〔写真説明〕損害保険ジャパンの災害リスク予測システムのイメージ。拠点ごとに豪雨などの被害を予測。危険度に応じて色分けされる(同社提供)
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