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  • アングル:米株高、少数の主力株以外に拡大 景気後退懸念薄れ

  • 2023/06/12 掲載

アングル:米株高、少数の主力株以外に拡大 景気後退懸念薄れ

ロイター

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[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米株高が今年の相場上昇を牽引してきた大型の成長株やハイテク株以外にも拡大する兆しを見せており、投資家は景気後退に備えて構築していたポートフォリオの組み直しを行っている。

投資家は数カ月前から、見通しがはっきりしないときの安全な投資先とされる一握りの大型株に殺到。株高に拍車が掛かってS&P総合500種は年初来で約12%上昇し、ほんの一部の銘柄に資金が集中した。

米国は金利が上昇したにもかかわらず経済が底堅さを保ち、景気後退が迫っているという懸念は薄れつつある。一部の投資家は小型株、エネルギー株、工業株など今年人気がなかった景気動向に敏感なセクターに足を踏み入れ始めており、こうしたセクターはいずれも6月に株価が大幅に上昇した。

Tロウ・プライスのマルチアセット部門のキャピタル・マーケット・ストラテジスト、ティム・マレー氏は、「米経済が逆風への耐性を強めている様子が見えてきた」と話す。「年初の悲観論が、予想以上にしっかりした市場という見方に変わりつつあると考えるに足る理由がある」という。

マレー氏は、経済成長の恩恵を最も直接的に受ける傾向を持つ小型株への資金配分を増やした。小型株で構成されるラッセル2000指数は年初来の上昇率が5.9%だが、今月は6.6%急騰している。

6月に株価が反発した他のセクターはエネルギーと工業。S&Pエネルギー株指数は今月に入って6%、同工業株指数は5.7%上昇している。年初来ではそれぞれ7.6%の低下と4%近くの上昇だ。

対照的にハイテク株で構成されるナスダック100指数は今月の上昇率が約2%で、人工知能(AI)開発の波に乗って年初来で33%近く上昇した最近の高騰に急ブレーキが掛かった。

株高の範囲拡大は、相場上昇のけん引役がごく一部の銘柄に集中していることを心配していた多くの投資家にとって歓迎すべきことだ。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのデータによると、S&P500種の年初来の上昇の大半をアップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラのわずか7銘柄が占めていた。

S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのシニア指数アナリスト、ハワード・シルバーブラット氏は「このような集中は異例で、それが変わり始めている」と述べた。

今月はS&P500種の11セクターのうち10セクターが上昇。年初来で上昇しているのは6セクターだから、値動きが堅調なセクターが広がった形だ。S&P500種構成銘柄のうち200日移動平均線を上回って取引されている銘柄の割合が9日には約54%となり、3月の低水準の38%から上昇した。ただ2月に記録した76%の高水準にはまだ及ばない。

予想を上回る雇用増と堅調な個人消費など、投資家が景気見通しを上方修正する統計も相次いで発表されている。

景気後退入りの予想を見直す動きもみられる。ゴールドマン・サックスは最近、向こう12カ月間に景気後退入りする確率を従来の35%から25%に引き下げた。またヌビーンのサイラ・マリク最高投資責任者は最近、「穏やかな」景気後退入りする時期が今年後半から来年にずれ込む可能性が高いとの見方を示した。

投資家は11日からの週に、連邦準備理事会(FRB)の利上げが成長に大きな打撃を与えることなくインフレを抑制し続けている兆候を探ろうと、13日発表の5月米消費者物価指数に注目するだろう。FRBは14日に連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を発表する。市場は金利据え置きを予想しているが、多くは当局者の今後の金融引き締め対する意欲も見極めようとしている。

市場関係者の間には景気を楽観するのは時期尚早との見方もある。キャピタル・エコノミクスのアナリストは8日、小型株の上昇はタイミングが早すぎた可能性が高いと指摘、今後数カ月で経済成長は勢いが弱まると予想した。8日発表の週間失業保険申請件数は市場予想を上回り、労働市場が冷え込んでいる可能性を示した。

一方、もっと楽観的な見方も存在する。ミラマー・キャピタルのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、マックス・ワッサーマンは、スターバックスやターゲットなど株価の動きがさえない消費財株のポジションを増やしている。両銘柄はそれぞれ年初来で約1%、15%下げている。

ワッサーマン氏は今年後半に成長が安定すればレストランや小売業がアウトパフォームすると予想。「そのときには報われると思う」と述べた。

(David Randall記者)

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