- 2023/08/11 掲載
NY市場サマリー(10日)ドル高、米国株横ばい 利回り上昇
<為替> 7月の米消費者物価指数(CPI)の内容が消化される中、ドルが上昇した。対円では一時5週間ぶり高値を付ける場面もあった。
米労働省が10日発表した7月のCPIは前年比3.2%上昇と、伸びは前月の3.0%から13カ月ぶりに加速した。ただ、市場予想の3.3%は下回った。前月比は0.2%上昇で、6月の伸びと並び、市場予想と一致した。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比4.7%上昇と前月の4.8%上昇から伸びが鈍化し、2021年10月以来の低い伸びとなった。前月比は0.2%上昇で、6月の伸びと並んだ。
マネックスUSAのFXトレーダー、ヘレン・ギブン氏は、CPIが前年比で予想を下回る伸びにとどまったものの、先月から加速したことを指摘。「米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%をなおかなり上回っており、年内に0.25%ポイントの追加利上げが実施される可能性はまだ十分にある。FRBが再度利上げを見送ったとしても、目標を上回るインフレが定着している以上、近い将来に利下げが実施されることはないだろう」と述べた。
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は10日、最近のインフレデータは正しい方向に向かっているものの、FRBが十分な仕事をしたと安心するには一段の進展が必要という認識を示した。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場ではCPIを受け、米連邦準備理事会(FRB)が年内に再利上げを行う可能性は低く、来年早々から利下げに踏み切るとの観測が広がった。
終盤の取引で、ドル/円は0.7%高の144.71円。一時、5週間ぶりの高値となる144.735円を付けた。ドルは年初来、対円で10.4%上昇している。
主要通貨に対するドル指数は0.1%高の102.56。
ドルは対ユーロでは0.1%上昇し、1ユーロ=1.0985ドル。
ドル/スイスフランは0.1%安の0.8765フラン。
ユーロ/円は一時、15年ぶりの高値となる159.20円を付けた。その後は0.8%高の158.96円。
<債券> 国債利回りが上昇した。朝方発表された7月の米消費者物価指数(CPI)や、軟調な需要に終わった30年債入札が材料視された。
指標10年債利回りは8ベーシスポイント(bp)上昇し、4.082%。
2年債利回りは2bp上昇し4.821%。
2・10年債利回り格差 はマイナス74bpと、マイナス幅が縮小した。
米労働省が10日発表した7月のCPIは前年比3.2%上昇と、伸びは前月の3.0%から13カ月ぶりに加速した。ただ、市場予想の3.3%は下回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比4.7%上昇と前月の4.8%上昇から伸びが鈍化し、2021年10月以来の低い伸びとなった。前月比は総合、コア指数ともに0.2%上昇だった。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・ルバス氏は「7月CPIは良好な内容だった」とし、「8月も同様の内容となれば、今回の利上げサイクルはおおむね終了したと言える」と述べた。
CPIを受け、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、米連邦準備理事会(FRB)が年内に再利上げを行う可能性は低く、来年早々から利下げに踏み切るとの観測が広がった。
CPI発表前に低下していた利回りはその後上昇に転じ、9日に付けた水準近くまで戻した。午後に入り実施された230億ドルの30年債入札が軟調な結果に終わったことを受け、利回りは上げ足を速めた。
30年債入札では、最高落札利回りが4.189%の高利回りと、入札前の水準を1bp超上回った。応札倍率は2.42倍と、4月以来の低水準となった。
<株式> ほぼ横ばいで終了した。当初は上昇していたものの、7月の消費者物価指数が消化されるに従い、失速した。市場では米経済の長期的な見通しのほか、株価の上昇余地を巡る懸念が出ている。
労働省が発表した7月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比3.2%上昇と、伸びは前月の3.0%から13カ月ぶりに加速。ただ、市場予想の3.3%は下回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比4.7%上昇と前月の4.8%上昇から伸びが鈍化し、2021年10月以来の低い伸びとなった。
朝方の取引では、米連邦準備理事会(FRB)は利上げを打ち止めにし、来年早々にも利下げに転じるとの見方から、主要3指数は揃って1%を超えて上昇。ただ、株価は午前終盤にかけて失速し、午後はプラス圏とマイナス圏を行ったり来たりしていた。
インベストメント・パートナーズ・アセット・マネジメントのグレッグ・アベラ最高経営責任者(CEO)は「市場ではまず総合インフレ率が注目され、株価が大きく上昇したがその後は失速した」と指摘。インフレ率は鈍化しているものの、コア・インフレ率はなお高水準にあるため当初のプラスの反応が後退したとし、「市場の反応としては、株価失速が正しかった」と述べた。
この日発表の別の経済指標では、8月5日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が24万8000件と、前週から2万1000件増加した。市場予想は23万件だった。
大型テハイテク株のこれまでの上昇を受け利食い売りが出るなどしているため、8月に入ってからS&P総合500種とナスダック総合がプラス圏で引けるのは、この日をいれて2日のみ。
インベストメント・パートナーズのアベラ氏は「多くのハイテク株のバリュエーションは金利低下を前提にしているが、金利が下がることを示す(経済指標などの)数字は見受けられない。逆に年末までにあと1回の0.25%ポイントの利上げが実施される可能性がある」と述べた。
この日の取引でアップルは0.1%、半導体大手エヌビディアは0.4%、それぞれ下落。グーグルを傘下に持つアルファベットは横ばい。マイクロソフトは小幅高。
S&P総合500種の主要セクターでは上昇と下落が半々。工業株や不動産株などが下落した一方、通信サービスなどが上昇した。
個別銘柄では、メディア・娯楽大手ウォルト・ディズニーが4.9%上昇。前日発表した第3・四半期(7月1日まで)決算は利益が市場予想を上回った。
「マイケル・コース」などのブランドを展開するカプリ・ホールディングスは55.7%急騰。高級皮革ブランド「コーチ」の親会社の米タペストリーがカプリを買収すると発表した。タペストリーは15.9%下落。
中国の電子商取引(EC)大手アリババ・グループ・ホールディングの米市場上場株は4.6%高。第1・四半期(4─6月)決算は、売上高が市場予想を上回った。
米取引所の合算出来高は118億2000万株。直近20営業日の平均は109億5000万株。
<金先物> 4日続落した。米インフレの鈍化傾向を示唆する統計の発表を受けて買いが先行したものの、米長期金利の上昇に圧迫された。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.70ドル(0.09%)安の1オンス=1948.90ドル。
<米原油先物> 利益確定の売りが優勢となり、3日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物は前日清算値(終値に相当)比1.58ドル(1.87%)安の1バレル=82.82ドルだった。10月物は1.40ドル安の82.29ドル。
ドル/円 NY終値 144.73/144.76
始値 143.81
高値 144.81
安値 143.31
ユーロ/ドル NY終値 1.0979/1.0983
始値 1.1026
高値 1.1064
安値 1.0977
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 89*13.50 4.2548%
前営業日終値 90*20.00 4.1780%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*03.50 4.1074%
前営業日終値 98*29.50 4.0070%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*16.50 4.2338%
前営業日終値 99*31.50 4.1280%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*26.00 4.8501%
前営業日終値 99*28.88 4.8020%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 35176.15 +52.79 +0.15
前営業日終値 35123.36
ナスダック総合 13737.99 +15.97 +0.12
前営業日終値 13722.02
S&P総合500種 4468.83 +1.12 +0.03
前営業日終値 4467.71
COMEX金 12月限 1948.9 ‐1.7
前営業日終値 1950.6
COMEX銀 9月限 2282.1 +9.0
前営業日終値 2273.1
北海ブレント 10月限 86.40 ‐1.15
前営業日終値 87.55
米WTI先物 9月限 82.82 ‐1.58
前営業日終値 84.40
CRB商品指数 279.9617 ‐2.0817
前営業日終値 282.0434
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