- 2023/08/12 掲載
NY市場サマリー(11日)ドル上昇、ナスダック下落、利回り上昇
米労働省が11日発表した7月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比、前年比ともに伸びが加速した。前月比では0.3%上昇。前年比では0.8%上昇。ロイターがまとめたエコノミストの予想は、前月比0.2%上昇、前年比0.7%上昇だった。
ドル指数は0.21%上昇。週間では4週連続高となった。
金利先物市場では、FRBが9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置く確率を88.5%としている。インフレ指標発表前は85%超だった。
ドル/円は一時145.03円と6月30日以来の高値を付けた。終盤は0.15%高の144.95円。
一方、ポンドは4日ぶりに上昇。英国の第2・四半期の国内総生産(GDP)は6月の好調に助けられ、予想外に増加。第2・四半期GDPは前期比0.2%増加、前年比0.4%増加した。ロイターがまとめたエコノミストの予想は前期比が変わらず、前年比0.2%増加だった。
ポンド/ドルは0.15%高の1.2694ドル。ただ週間では4週連続安となる見込み。
またユーロ/ドルは0.3%安の1.0946ドル、ドル/スイスフランは0.06%下落した。
<債券> 国債利回りが1週間ぶりの水準に上昇した。11日発表された7月の米卸売物価指数(PPI)が前月比、前年比ともに伸びが加速したことが材料視された。また、夏の薄商いが利回り上昇の一因となったともみられている。
PPIは前月比0.3%上昇、前年比0.8%上昇と、ともに市場予想を上回った。サービス価格が約1年ぶりの高い伸びとなったことが背景。
物価上昇圧力が再び強まることで、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続する可能性があるという懸念も漂うが、一部アナリストの間からは今回の統計が市場予想からさほどくかけ離れてはいないという指摘もある。
また、11日に発表された8月の米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は低下したものの、消費者が来年以降、インフレが低下すると見込んでいることも示された。
終盤の取引で、10年債利回りは9ベーシスポイント(bp)上昇の4.168%、2年債利回りは8bp上昇の4.900%となった。
2・10年債利回り格差は前日からほぼ横ばいのマイナス73bp。
<株式> ナスダック総合とS&P総合500種が下落して取引を終えた。予想を上回る米卸売物価指数(PPI)により米債利回りが上昇し、金利に敏感な大型グロース株が下落した。
ダウ工業株30種はこの日プラス圏を維持した。週間では0.6%高。一方、ナスダックとS&P500は2週連続安。ナスダックの2週連続安は今年初。週間でS&P500は0.3%安、ナスダックは1.9%安となった。
労働省が11日発表した7月のPPI(最終需要向け財・サービス)は前月比で0.3%上昇、前年比では0.8%上昇となった。ロイターがまとめたエコノミストの予想は、前月比0.2%上昇、前年比0.7%上昇だった。
市場では米連邦準備理事会(FRB)が年内の利上げを見送るとの見方が大勢を占めているものの、9月に利上げを見送る確率は指標発表前の90%から88.5%に低下した。[IRPR]
米2年債利回りは4.88%まで上昇。これがハイテク大手の重しとなった。テスラ、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトが0.6─1.3%下落した。
エヌビディアは3.6%安。フィラデルフィア半導体(SOX)指数は2.3%下落した。同指数は4日続落、直近9営業日のうち8営業日下落した。週間では5%下落し、4月上旬以来の大幅な下げとなった。
S&Pの主要セクターでは、ヘルスケアとエネルギーが上昇。両セクターとも今年最もパフォーマンスの悪いセクターだったが、エネルギーは7連騰を記録した。
国際エネルギー機関(IEA)が11日公表した月報で、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」による供給削減によって年内に石油在庫が減少し、石油価格が一段と上昇する可能性があるとの見方を示したことを背景に、エネルギーセクターは1.6%上昇した。
米石油・ガス大手オキシデンタル・ペトロリアムは3.3%高。子会社が米政府から二酸化炭素回収に関する助成金を獲得したことを受けた。
米メディア大手ニューズ・コープも4.6%上昇。コスト削減により四半期利益が予想を上回った。
中国の電子商取引(EC)大手アリババ・グループ・ホールディングと中国の電子商取引大手JDドットコム(京東集団) の米上場株はそれぞれ3.5%、5.3%下落。中国政府の最新の景気刺激策が投資家を失望させた一方、新たな指標で中国のパンデミック(世界的大流行)後の回復が勢いを失っていることが示されたことを受けた。
<金先物> 米長期金利の上昇や対ユーロでのドル上昇を背景に、5日続落した。中心限月1 2月物の清算値(終値に相当)は前日比2.30ドル(0.12%)安の1オンス=19 46.60ドル。
米労働省が朝方発表した7月の米卸売物価指数(PPI)は、インフレの鈍化傾向が示された10日発表の米消費者物価指数(CPI)から一転し、インフレが依然として 高水準にとどまっていることを示唆する内容だったことから、米連邦準備制度理事会(F RB)による利上げ局面が続くとの観測が再浮上。米長期金利が上昇し、金利を生まない 資産である金は売りが優勢となった。対主要通貨でドルが上昇したこともドル建て商品の 割高感につながり、相場を下押した。市場関係者の間ではテクニカルな売りも出たとの声が聞かれた。
<米原油先物> 需給引き締まり観測が広がる中で買われ、反発した。米国産標準油種WTIの中 心限月9月物は前日清算値(終値に相当)比0.37ドル(0.45%)高の1バレル= 83.19ドルだった。10月物は0.28ドル高の82.57ドル。
石油輸出国機構(OPEC)は10日付の月報で2023年下半期(7━12月)の石油市場は健全な状態との見通しを示し、24年の石油需要は堅調との従来予想を据え置いた。また、国際エネルギー機関(IEA)は11日公表した月報でOPEC加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による減産により23年内に在庫が減少し、石油価格が一段と上昇する可能性があると指摘。エネルギー需給の引き締まり観測が強まり、買いが優勢となった。
一方、米労働省が11日の朝方発表した7月の卸売物価指数(PPI)は全体で前月比0.3%上昇、コア指数が前月比0.3%上昇と、ともに市場予想を上回った。これを受けて、米利上げ打ち止め観測が後退したことから、外国為替市場では対ユーロでドル買いが優勢となった。ドル建てで取引される商品に割高感が生じ、原油の上値を抑えた。
ドル/円 NY終値 144.96/144.99
始値 144.56
高値 145.03
安値 144.43
ユーロ/ドル NY終値 1.0944/1.0948
始値 1.0991
高値 1.1004
安値 1.0944
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 97*21.00 4.2642%
前営業日終値 98*05.63 4.2330%
10年債(指標銘柄) 17時01分 97*22.50 4.1581%
前営業日終値 98*10.00 4.0820%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*06.75 4.3030%
前営業日終値 99*21.00 4.2020%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.50 4.8925%
前営業日終値 99*27.75 4.8210%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 35281.40 +105.25 +0.30
前営業日終値 35176.15
ナスダック総合 13644.85 -76.18 -0.56
前営業日終値 13737.99
S&P総合500種 4464.05 -4.78 -0.11
前営業日終値 4468.83
COMEX金 12月限 1946.6 ‐2.3
前営業日終値 1948.9
COMEX銀 9月限 2274.3 ‐7.8
前営業日終値 2282.1
北海ブレント 10月限 86.81 +0.41
前営業日終値 86.40
米WTI先物 9月限 83.19 +0.37
前営業日終値 82.82
CRB商品指数 279.7356 ‐0.2261
前営業日終値 279.9617
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