- 2023/08/14 掲載
箱ティッシュ、進む「ソフトパック化」=置きやすさ魅力、物価高で加速―製紙業界
生活に欠かせないティッシュペーパーの形状が変わりつつある。定番の紙箱ではなく、透明のフィルムで包装された「ソフトパック」タイプがじわり浸透。台所など水回りにも置きやすい利便性の高さに加え、紙箱よりも価格が安いのが魅力だ。最近の物価高で一段とシェアが拡大している。
民間調査会社のインテージ(東京)によると、国内でソフトパックのティッシュが販売されたのは2007年度。08年度のシェアは市場全体の0.1%だったが、右肩上がりで伸び続け、現在では約2割を占めるまでに成長している。
最大の売りはコンパクトさ。「クリネックス」を販売する日本製紙クレシアは「消費者にとって持ち運びしやすく、企業側は輸送コストを抑えられる」と指摘。その結果、紙箱より価格を低く設定することができ、「エリエール」を展開する大王製紙は「22年度は物価高も影響し、節約意識の高まりがさらに需要を伸ばした」と分析した。
昨年10月にソフトパックを発売した王子ネピアは「収納スペースを省け、ゴミも減らせる」(広報)と説明。紙と違って、水でふやけることもなく、キッチンや洗面台にも置きやすいため、「従来の紙箱とは違った使い方をする人が増えている」と話した。
一方、大王製紙の森脇哲平ファミリーケアグループ係長は、紙箱と比較したソフトパックの難点として「取り出しづらさ」を指摘。ただ、「(改良が進めば)やがて箱タイプのメリットはなくなっていくのでは」と予想する。もっとも「再利用できる資源という紙箱の特性を生かすべく今後も力を入れる」(日本製紙クレシア)との声もあり、各社とも両方の利点を生かした付加価値の高い商品展開に力を入れる構えだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕コンパクトでゴミも少なく、さまざまなシーンで置きやすいのが魅力のソフトパックティッシュ
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