- 2023/08/21 掲載
昆布やワカメ、食卓から守れ=生産減少、企業が産地支援
昆布やワカメといった、食卓でおなじみの海藻の国内生産量が年々減少している。背景には漁業者の高齢化や後継者不足があり、海洋環境の変化による生育不良も拍車を掛ける。こうした状況を打開しようと、加工品を扱う食品メーカーが産地の支援に乗り出している。
全国の昆布生産量の9割超を占める北海道。北海道漁業協同組合連合会の調査によると、道内の昆布生産量はこの30年で約3分の1に減少した。漁業関係者は「水揚げまではできても、昆布を1枚ずつ並べ乾燥させる工程が重労働で人手がかかる」と話す。
そこでフジッコは、水揚げ後の乾燥工程を省き、そのまま工場で切断、冷凍する「生昆布」の生産を開始。3月から「ふじっ子煮
MIRAI(ミライ)」シリーズとして販売している。漁業者の作業負担を減らせる上、もちっとした弾力のある食感も楽しめるという。
国産養殖ワカメの7割を占める「三陸わかめ」の生産量も減少傾向にある。乾燥ワカメ「ふえるわかめちゃん」で知られる理研ビタミンは、2020年から岩手県大船渡市でワカメの養殖を支援。子会社を通じて種苗や生産ノウハウを提供しており、今年は前年比2倍の130トンを収穫した。
同社は「原料の安定調達に加え、空き漁場の活用や地元漁業会社の収入安定にもなる」(広報担当)と強調。生育初期に枯れる「芽落ち」を防ぐ種苗の研究も進め、持続可能な海藻産業の実現に力を入れる考えだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕船に乗り、昆布漁を行う漁業者(フジッコ提供) 〔写真説明〕乾燥工程を経ずに生産される「生昆布」(フジッコ提供) 〔写真説明〕理研ビタミンが支援するワカメの養殖=岩手県大船渡市(同社提供)
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