- 2023/08/21 掲載
アングル:米株の強気転換が一巡、金利高や中国懸念で不安定化も
年初時点の株式ポジションや現金の配分比率といった指標は極端な弱気を示したが、米景気の底堅さやインフレ鈍化の兆しを受けて投資家は様子見姿勢を脱し、数カ月かけてリスク選好度を高めてきた。この結果、S&P500種株価指数は年初から14%近く上昇。ただ足元では、懐疑的な投資家の強気転換による相場上昇に息切れ感を指摘する声が出ている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチのストラテジストは最近のリポートで、今年前半は弱気ポジションがリスク資産にとって「強い追い風」だったが、後半は「そうではない」と述べた。
同行のファンドマネジャーを対象とした調査によると、8月の現金配分比率は4.8%に低下し、過去21カ月で最低となった。この比率が5%を超えると「買い」とする投資指標は「中立」に変わった。調査ではまた、ファンドマネジャーの間で2022年2月以降最も弱気な見方が少なかったことも分かった。
米個人投資家協会(AAII)の調査によれば、個人投資家の弱気度は22年9月の半分の水準でしかない。
ハイ・マウント・リサーチのストラテジスト、ウィリー・デルウィッチ氏は「今年初めの市場には悲観論が多く、悲観論から楽観論への転換が相場上昇の原動力となった」と分析。ただ「過度な悲観から過度な楽観に急速に転換した」ためスピード調整が起きているとした。
米連邦準備理事会(FRB)がどれだけ長い期間、政策金利を現在の高水準で維持するつもりなのかについて手掛かりを得るため、投資家は米経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でパウエルFRB議長が25日に行う講演に注目している。
一方、米国債利回りの上昇によって株式の割高感が意識され、その魅力が薄れる可能性がある。同時に、経営難に陥っている中国不動産開発大手の中国恒大集団が米連邦破産法15条の適用を申請したことで、中国の不動産不況の深刻化や景気への影響について懸念が強まっている。
LPLファイナンシャルのチーフグローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は、これらの要因によって「市場は特に脆弱になっている」とし、米企業が10月に第3・四半期決算を発表し始めるまで、株価は不安定な状態が続くと予想した。
(David Randall記者)
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