• 2023/10/07 掲載

トイレ紙、有事のたびに買い占め=石油危機の騒動、コロナ禍でも

時事通信社

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1973年10月に起きた第1次石油危機では、製造過程で燃料に使う原油の急騰や供給途絶への懸念から品不足のうわさが広がり、トイレットペーパーの買い占め騒動が起きた。50年近くたったコロナ禍でも、SNSのデマにより一時品薄となる事態が発生。生活必需品のため有事の際に不安感から買い占め対象になりやすいという性質は、半世紀を経ても変わっていない。

トイレ紙騒動の発端とされる大阪・千里ニュータウン。当時中学生だった奥居武さん(64)は、騒動のうわさを職場で聞いて購入に向かった母親が「店になくなっている」と、ペーパータオルを手に帰ってきたことを印象的に覚えているという。第4次中東戦争も学校で話題となり、「今と似て、世界全体が暗かった」と振り返る。

現在は一般財団法人の理事長としてまちづくりに携わる奥居さんは、千里ニュータウンが水洗トイレ完備の新しい町だったことも騒動の背景にあるとみている。住宅の8割を占めた団地は配管構造からトイレ紙以外の紙を流せない事情が不安を増幅。当時は専業主婦も多く、口コミによる「情報の回りが速かったのではないか」とも推測する。トイレ紙を求めた主婦が店舗の外にまで行列を作り、値段もみるみる上がったと記憶する。

コロナ禍では、マスクに次いで紙製品が品薄になるといううわさがSNSで広まり、トイレ紙が買い占められた。日本製紙クレシアの長谷川敏彦マーケティング部長はトイレ紙に関し「なくなると困る物の代名詞」と話し、社会不安で買い占め対象になりやすいと指摘。大王製紙も「長期間保管しても品質に影響しにくく、買いだめのハードルが低い」と説明する。

普段は安定的に買われるため在庫量が一定で、大量配送しても保管するスペースもないため、「一気になくなるとすぐに補充できない」(長谷川氏)のが痛いところ。一時的でも「店頭にない」事実がうわさを裏付けて買い急ぐ心理を促した。

日本製紙クレシアの前身、山陽スコットの社史には、石油危機後の74~75年は過剰在庫のため生産調整を余儀なくされ、買い占め騒動が「残した後遺症は傷深い」と記されている。

【時事通信社】 〔写真説明〕商品が消えたスーパー逗子の洗剤売り場。買い占めの影響で商店からトイレットペーパーや洗剤などの石油関連商品の品切れが続いた=1973年11月、神奈川県逗子市 〔写真説明〕新型コロナウイルスの影響で売り切れたドラッグストアのトイレットペーパーの棚=2020年3月、東京都新宿区 〔写真説明〕取材に答える一般財団法人「千里パブリックデザイン」の奥居武理事長=6日、大阪市中央区

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