- 2023/10/09 掲載
デジタルユーロ、導入準備判断へ=先進国で初―ECB
【ロンドン時事】中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の導入や検討の動きが世界的に加速する中、欧州中央銀行(ECB)が今月、「デジタルユーロ」の導入準備に入るかどうかを判断する。CBDCはナイジェリアなど約10カ国で既に導入されたほか、中国が試験運用中で、インドやタイでも実証実験が進む。先進国ではECBが先陣を切る可能性もある。
デジタルユーロは現金を補完する新たなユーロ圏の法定通貨。オンラインや店舗での買い物で使える安全な決済手段として、個人や企業が無料で利用できるようにする。オフラインでも使用可能で、プライバシーを最大限保護するとしている。
欧州では電子決済の拡大が続き、2017年に184.2兆ユーロだった欧州連合(EU)域内の利用額は、21年に240兆ユーロに拡大。ただ、決済は米国勢が牛耳っている。EUはデジタルユーロの導入で、利便性の向上に加え、「非欧州プロバイダーへの依存を減らし、EUの自主性と回復力を強化する」(ECB高官)ことも狙っている。
CBDCを巡っては、世界の国内総生産(GDP)の98%に及ぶ130カ国以上で調査・検討が進む。25年までに導入の可否を決めるとしている英イングランド銀行(中銀)高官は、実現には「国民的対話が必要」と指摘。国民の間では、政府が個人情報を無断で利用するのではとの懸念が根強い。高齢者やCBDCを使えるデバイスを持たない人々が取り残されるリスクも抱える。
ECBは今年6月にデジタルユーロの法的な枠組み案を公表済みで、今回の判断で導入に向けた取り組みを本格化させるとの見方が強い。27年までに発行される可能性もあり、それまでに利用者とのさらなる対話が求められそうだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕欧州中央銀行(ECB)の旧本部ビル前にある大きなユーロ記号=9月14日、フランクフルト(AFP時事)
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