政策修正の見通しは＝植田日銀半年、識者に聞く☆１

植田和男日銀総裁の半年間の金融政策運営と今後の政策修正の見通しをどうみるか。元日銀理事でみずほリサーチ＆テクノロジーズの門間一夫エグゼクティブエコノミストと大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストに聞いた。

◇来年４月にマイナス金利解除も＝みずほリサーチ＆テクノロジーズの門間一夫氏

―植田和男日銀総裁の半年間の評価は。

黒田東彦前総裁の任期１０年のほとんどは、ひたすら金融緩和を続けると言えばよかった。今は先行きに不確実性が高く、先々のことは決め打ちできず、さまざまな可能性があると上手に等身大でコミュニケーションしている。

―長短金利操作の柔軟化を決めた。

非常に柔軟な仕組みに切り替えることができた。長期金利の変動許容幅を曖昧な形とし、急激に金利が上がる場合には抑えにいく。円安が進行するときは、金利上昇を許容できる。

―今後の物価見通しは。

２０２４年度以降、２％程度の物価上昇率が定着するのか、２％に行かずに落ち着いてしまうのか、現時点で分かることは非常に限られている。２％物価上昇目標達成の確率は五分五分だ。

―今後の政策修正の見通しは。

３月くらいに結果が出始める来年の春闘で妥結内容が強ければ、４月の「経済・物価情勢の展望（展望リポート）」で、物価目標の達成が見通せたと判断。政府の「デフレ脱却」宣言と軌を一にし、マイナス金利解除と長短金利操作を撤廃するのがシナリオだ。

―過去２５年の金融政策の「多角的なレビュー（検証）」を始めた。

過去の政策の副作用を検証する中で、マイナス金利と長短金利操作は効果もあったが、まずい面もあったと評価するだろう。物価目標を達成できなくても、来年に結果が出るレビューに基づき、マイナス金利と長短金利操作はやめることになる。（続）。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答えるみずほリサーチ＆テクノロジーズの門間一夫氏＝９月２９日、東京都千代田区