- 2023/11/01 掲載
長期金利、1%台視野に=試される日銀の許容度
日銀が長短金利操作の運用を柔軟化したことを受け、長期金利の上昇圧力が一段と強まっている。1日の東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、0.970%に上昇(債券価格は下落)。約10年5カ月ぶりの高水準を付け、節目となる1%台が視野に入る。日銀がどの程度まで上昇を認めるのか、市場が試す動きとなっている。
日銀は10月31日の金融政策決定会合で、長期金利の事実上の上限としてきた1%を「めど」として柔軟化、1%超の金利上昇も一定程度容認する方針を示した。想定外の金利上昇が続く中、日銀が市場から大量の国債を買い入れて円滑な取引に支障が出るといった副作用を避ける狙いがある。
植田和男日銀総裁は会合後の記者会見で、長期金利に関し「1%を大きく継続的に超えるということはない」との見方を示した。しかし、市場ではマイナス金利政策の解除など大規模金融緩和の「出口」につながるとの観測も根強く、債券を売る動きに歯止めはかかっていない。
日銀は政策修正翌日の1日も臨時の国債買い入れを実施、急ピッチの金利上昇をけん制するなど対応に追われた。金利の上昇が続けば住宅ローンや企業の借り入れ負担が増し、回復途上の景気を冷やす懸念がある。金利を過度に抑え込めば、米国との金利差拡大で円安が加速するリスクもある。日銀は今後も難しいかじ取りを迫られそうだ。
【時事通信社】
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