- 2023/11/09 掲載
11月ロイター企業調査:マイナス金利解除なら「影響」25%、やや円高を予想
[東京 9日 ロイター] - 11月のロイター企業調査で、日銀がマイナス金利政策を解除した場合の経営に対する影響を聞いたところ、「ある」が25%、「ない」が23%で回答が拮抗した。同政策に対するこれまでの評価は、借り入れ負担が減ったとの答えが多かった一方で、特段のメリットを感じていない企業も過半を占めた。
解除時期の見通しについては、米金利動向や衆院の解散・総選挙など不透明要因が多く、見方が定まっていない。また、日銀が解除に動いた場合の為替相場について、120―140円へと現行水準からやや円高に振れるとの見方が7割を占めた。
調査は10月24日─11月2日。調査票発送企業は502社、回答社数は243社だった。
日銀は、2016年1月の金融政策決定会合でマイナス金利の導入を決定。金融機関が保有する日銀当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用している。
マイナス金利政策がこれまで経営にプラス効果をもたらしたとする企業は、「大いにプラス」、「ややプラス」を合わせて40%だった。多くの企業は「借入金利の利払いの縮減」(電機)をメリットとして挙げた。また、その結果として「設備投資をしやすい環境になる」(卸売り)との声もあった。一方で「どちらでもない」が53%と過半数を超えた。
4月に植田和男総裁が就任して以降、日銀は7月、10月と2度にわたって長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の柔軟化に動いた。次の一手として注目されるマイナス金利解除が行われた場合、経営に影響があるかどうかについては「ある」が25%、「ない」が23%とほぼ並んだ。半分以上が「解除の仕方による」、「分からない」と影響を見通せていなかった。
また、マイナス金利がいつ解除されるとみているかを聞いたところ、24年1─3月期、4―6月期、下期がそれぞれ15%、27%、28%だった。25年以降との回答も26%で見方が分かれる結果となった。
物価上昇を上回る賃上げを解除の必要条件に挙げる企業が多い中、企業のコメントからは、世界景気の動向や国際的な金利情勢、国内の衆議院選挙など、政策決定時期を左右しそうな変数が依然多いとみている様子がうかがえた。
YCCの柔軟化などで日本の金利も上昇しつつあり、10年物長期金利は一時0.9%台に乗せた。企業に金利上昇への備えを聞いたところ、37%が「資金調達手法の変更」、25%が「借入の長期固定化」と回答した。「無借金経営の継続」(サービス)という声もあった。
日米の金利差を背景に円安が進んできた為替相場が、マイナス金利解除でどう動くかは、現在の1ドル=150円付近からからやや円高に振れるとの予想が多かった。「120―130円未満」との回答が33%、「130―140円未満」が38%と、120―140円と見込む企業が7割を占めた。
(グラフィック作成:照井裕子)
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