- 2023/11/10 掲載
パウエル議長のタカ派発言、金融環境の緩みを警戒か
[10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が9日、「政策をさらに引き締めることが適切となれば、躊躇することなく引き締める」とタカ派的な発言をしたことについて、一部の市場関係者はFRBが金融環境の緩みを警戒しているのではないかと指摘している。
アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏は「パウエル議長は先週のハト派的なコメントの一部を軌道修正し、FRBは必要なら再び利上げする用意があるとの考えに立ち戻ったようだ」と指摘。
マクロ・ヘッジファンド、トロウ・キャピタル・マネジメントのスペンサー・ハキミアン最高経営責任者(CEO)は「先週から利回りが急低下したことで、連邦公開市場委員会(FOMC)内に警戒感が生じた可能性があり、パウエル議長が口先介入で再び利回りを押し上げた」と述べた。
「金融環境の引き締まりを促すことがFRBの考えなら、利回り低下を容認するわけにはいかない。実際に利上げをする必要が生じないよう、利回りを景気抑制的な水準に維持する必要がある」と指摘した。
フランクリン・テンプルトン・フィクスト・インカムのソナル・デサイ最高投資責任者(CIO)も、こうした見方に同調し、FRBは意図せずして市場に広がった「高揚感」を鎮めようとしていると分析。
「株式市場と債券市場が同時に上昇したことで、金融環境の引き締まりが大幅に解除された。市場はパウエル議長に『任務完了』と言わせようとしているが、パウエル氏はこれに抵抗している」と述べた。
LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「パウエル議長は、来年の利下げ観測に浮かれすぎている投資家に警告を発した」とした上で「来週の消費者物価指数(CPI)統計は、エネルギー価格の下落で総合指数が弱い内容になる可能性が高く、市場は一息つけるだろう」と述べた。
PR
PR
PR