• 2024/03/30 掲載

アングル:市場のムード急変に警戒、第1四半期は世界的に株高・債券高

ロイター

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Naomi Rovnick Karin Strohecker

[ロンドン 28日 ロイター] - 世界の債券・株式市場は高値で第1・四半期を終えた。主要中央銀行の利下げを巡り楽観論と悲観論の間で揺れ動いたが、投資家は市場のムードが今後さらに急変するリスクに身構えている。

MSCI世界株指数は3月に最高値を記録。1月中旬以降10%近く値上がりしている。トレーダーは今年最大7回の米利下げを見込んでいたが、そうした大幅利下げ観測は後退し、足元では6月の利下げ開始が有力視されている。

スイス国立銀行(中銀)は先週、予想外の利下げを決定。投資家は米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が6月に利下げを開始するとの見方でほぼ一致している。

エクサンBNPパリバの株式戦略責任者デニス・ホセ氏は、たとえFRBとECBが年央に利下げしても、景気拡大・労働市場の引き締まり・賃金上昇でインフレが再燃した場合、利下げを停止する可能性があると指摘。「最初の利下げに到達した後の方が大変かもしれない」と述べた。

ネッド・デイビス・リサーチのチーフ・グローバル・マクロ・ストラテジスト、ジョー・カリッシュ氏は、株式・債券市場に「過度な油断」が見られるとし「どちらかの方向にデータが大きく動かなくてもコンセンサスが崩壊する可能性がある」と指摘する。

<何から何まで上昇>

ただ、3月末になっても株式・債券市場の上昇は続いている。

グローバル国債指数は3月に月間ベースで今年初めて上昇。第1・四半期はあらゆる資産に熱狂的な買いが入り、日本株が最高値を更新したほか、新興国債券も目覚ましい上昇を記録した。米S&P500指数と欧州のSTOXX600指数も最高値圏にある。

主要市場では中国だけが景気低迷を背景に取り残されているが、その他の新興国は、国際資本市場で発行した債券が大幅に上昇。

アルゼンチン債はミレイ大統領の思い切った改革への期待から第1・四半期のリターンが25%を超えた。

パキスタン債のリターンも同水準。総選挙の混乱を経て新政権が発足したことや国際通貨基金(IMF)の支援を獲得したことが好感された。

ウクライナ債のリターンも25%超。エジプト債はアブダビから多額の投資を確保したことやIMFの新たな支援が好感された。

シティのストラテジストのヨハンナ・チュア氏は「高利回りの新興国ソブリン債は昨年第4・四半期以降、大幅にアウトパフォームしている。FRBの政策転換に起因するリスク選好の上昇が背景だ」と述べた。

コモディティでは、カカオ豆先物価格が供給不足を背景に史上最高値を更新。通貨では、米利下げ観測が弱まりドルが上昇した。

<矛盾するシグナル>

投資家は「ノーランディング」シナリオに賭けているが、一部のアナリストは景気悪化のリスクがあると指摘している。

ラッセル・インベストメンツの投資戦略担当グローバルヘッド、アンドリュー・ピース氏は「奇妙な(景気)サイクルだ。矛盾するシグナルがたくさんある。手をこまねいて楽観論の広がりを受け入れている場合ではない」と述べた。

市場で利下げ観測が広がる中でも、米国とユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)は改善している。

北海ブレント原油は第1・四半期に13%上昇。IMFは1月に世界の経済成長予測を上方修正。国際エネルギー機関(IEA)は3月に石油需要見通しを引き上げた。

ドル指数は第1・四半期に3%近く上昇した。米経済が好調で大幅な利下げが見送られるとの見方が浮上した。

ドル高は各国の政策当局に圧力をかけている。日本政府は円安をけん制。アナリストはECBとイングランド銀行(英中央銀行)が通貨安のリスクを冒してFRBより先に利下げするのか、確信を持てないでいる。

ドイツ銀行が投資家250人を対象に今月実施した調査によると、半数近くが米国の景気後退はなく、インフレ率は年末までFRBの平均目標である2%を上回ると予想した。

また、半数以上は、S&P500指数が10%上昇する可能性より10%下落する可能性の方が高いと答えた。

チューリッヒ保険のチーフ・マーケット・ストラテジスト、ガイ・ミラー氏は「インフレが予想外に上振れし、再び利下げが先へ先へと延ばされれば、状況は一変する。金融市場は苦しむことになる」と語った。

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