- 2025/05/28 掲載
若年層取り込み、競争本格化=預金獲得狙い、デジタルサービス加速―メガ銀
メガバンクグループ各社が個人向けデジタル金融サービスの展開を加速させている。「金利ある世界」の到来で融資や運用の原資となる預金獲得の重要性が増し、銀行間の競争は激化している。急速に普及するキャッシュレス決済への対応や資産運用サービスの充実により、若い世代を中心とした預金者の取り込みにつなげたい考えだ。
「銀行と信託、証券、カードがシームレスにアプリでつながるサービスを提供しないと顧客ニーズに応えられない」。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長は27日、デジタル金融サービス「エムット」の立ち上げを発表した記者会見でこう強調した。
メガ各社は巨額の預金を抱えるが、近年は金利優遇を武器にするインターネット専業銀行との預金獲得競争にさらされている。クレジットカードや電子マネー、QRコードなどのキャッシュレス決済も日常生活に浸透する中、「リアル」の銀行が勝ち残るにはデジタル化対応が急務だ。
メガで先行するのは三井住友フィナンシャルグループ。2023年3月にデジタル金融サービス「Olive(オリーブ)」を導入した。ポイントの高率還元や他社の保険、証券との連携を売りにアカウント数を500万件超に伸ばす。今月15日にはソフトバンク系決済「PayPay(ペイペイ)」との連携も発表。強者同士の「大連立」(三井住友の中島達社長)で攻勢を強める。
「楽天経済圏」との連携を深めつつあるのは、みずほフィナンシャルグループだ。ネット系証券大手の楽天証券に49%出資しており、昨年には楽天カードにも15%弱を出資した。
一方、三菱UFJは「やはり一番の強みは銀行だ」(亀沢氏)として、国内トップの預金量を誇る三菱UFJ銀行の顧客基盤を活用。「エムット」で預金者を信託、証券などのグループ各社につなげ、自前の経済圏確立を狙う。競合他社と比べると出遅れ感は否めないが、まずは大規模なポイント還元・金利優遇キャンペーンを打ち出し、巻き返しを急ぐ。
【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見に臨む三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長(右から2人目)ら=27日午後、東京都港区
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