- 2025/05/28 掲載
カナダの今年度国債発行規模は過去最高に、予算案先送り巡る懸念も
カーニー政権は、通常は年度初めの4月に発表している予算案を今年度は秋に提示する方針を示している。国債の発行は高水準で推移しており、アナリストや投資家の間には今年度予算で政府歳出が予想外に増えて国債の発行が増加し、市場が短期間での消化を迫られるのではないかと危惧する声がある。
中央銀行総裁経験者というカーニー首相の経歴は安心材料だが、予算案提示の引き延ばしは歓迎できない、というのが投資家の見方だ。
フィッチ・レーティングスのディレクター、ジョシュア・グランドルガー氏は「透明性の問題が浮上し、経済と財政の不確実性をもたらしている。与党公約のどの部分が実行され、最終的に財政赤字や債務、納税者にどう影響するかを市場がはっきりと把握することが有益になる」と強調した。
輸出の75%前後が米国向けとなっているカナダは、米国が貿易戦争を仕掛けたことで特に財政の見通しが不透明になっている。
ロイターの試算によると、カナダの2025/26年度の借り入れ需要は推定6280億カナダドル(約4572億6000万米ドル)で、パンデミック期にあたる2020/21年度の5930億カナダドルを上回る見込み。パンデミック期に発行された国債は多くがカナダ銀行(中央銀行)によって買い入れられており、今回は実際に市場に流通する国債の規模がさらに大きくなると考えられる。
市場では、国債は発行増大で利回りが上昇するとの見方が出ている。TDセキュリティーズのカナダ・世界金利戦略部門責任者のアンドリュー・ケルビン氏は、利回りが影響を受けてイールドカーブはスティープ化すると予想した。
既にカナダの10年国債利回りは米国債の利回り上昇と歩調を合わせる形で4月の底から50ベーシスポイント(bp)余りも上がり、3.31%となっている。長い目で見れば依然として低水準だが、2年債との利回り差は63bpと2021年11月以来最大だ。
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