• 2025/07/01 掲載

情報BOX:米相互関税巡る主要国別交渉、9日期限前に打開の道筋見えず

ロイター

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Jonathan Allen

[30日 ロイター] - トランプ米大統領が設定した「相互関税」上乗せ分の一時停止期限が7月9日に迫る中で、十数カ国に上る米国の主要貿易相手は交渉を急いでおり、トランプ政権側も、合意を迫る姿勢を強めている。

これまで英国との限定的な合意に達しただけのトランプ氏は繰り返し、7月9日以降は貿易相手に適用関税率を記した書簡を送るだけで交渉を打ち切る意向をちらつかせ、ベセント財務長官も来週になれば関税が上がるリスクは本物だと警告した。

ベセント氏は30日にブルームバーグテレビで「各国は誠実に交渉を続けているが、彼らが抵抗して意見対立が解消できない場合、われわれは(関税率を)4月2日のレベルに戻せるのだと認識するべきだ。私としてはそうならないことを望む」と語った。

貿易交渉が不調に終われば、多くの国の製品に適用される関税率が最大50%に引き上げられるまであと1週間余り。ただ米国株は、期限までにさまざまな取引が実現する、あるいは期限が延長されるとの期待で過去最高値を更新している。

国・地域別の交渉状況は次の通り。

◎欧州連合(EU)

EU欧州委員会のセフコビッチ委員(通商担当)は7月1日に米首都ワシントンを訪れ、米国側と会談する予定。これまで米国から出された提案については歓迎の態度を示している。

交渉の進展具合は不明だが、加盟27カ国は、米国よりもずっと厳しいソーシャルメディアやテック企業への規制を交渉議題にしないと表明してきた。

一方でEUは、多くの製品に一律10%の関税を課す米国の方針受け入れには前向き。ただ医薬品、アルコール、半導体、商用機といった重要分野の関税引き下げを米国が約束することを求めている、とブルームバーグが伝えた。

EUは自動車・部品と鉄鋼・アルミニウムに関しては、それぞれ米国が課している25%と50%の関税を事実上軽減するための輸入枠や例外措置の導入も求めているという。

◎日本

日本政府は、国益を守りつつ米国との合意を目指すべく努力を続けるとの立ち位置だ。しかしトランプ氏は自動車貿易で日本を「不公正」だと非難し、米国に輸入される日本車に25%の関税が適用されるのを避けられるかどうかは分からなくなっている。トランプ氏は、日本が米国の石油など幾つかの製品をもっと買うべきだとも提案してきた。

トランプ氏は30日、日本が米国産のコメに輸入制限を設けていると不満を示した後、新たな関税率を送りつけるだけで交渉を終えるつもりの相手に日本が含まれる可能性に言及。自身のソーシャルメディアに「日本には大変な敬意を持っている。(だが)彼らはわれわれのコメを決して受け入れない。大幅なコメ不足であってもだ。われわれはただ書簡を送り、これから何年も貿易相手としての関係を持つのを楽しみに待つ」と投稿した。

◎インド

米国とインドの交渉は以前の楽観ムードは消え去り、自動車部品や鉄鋼、農産物の関税問題を巡る対立が原因で行き詰まっている。焦点はインド側が乳製品やナッツ類、大豆などの農産物に関する保護措置を緩和する意思があるか、また米国がインド製鉄鋼・自動車部品への関税引き下げに応じるかどうかになっている。

◎インドネシア

インドネシアは30日、一部製品の輸入許可要件を緩和し、プラスチックや化学製品、興業原料品などの輸入制限を撤回した。これは同国が7月9日までの合意に前向きな姿勢を示したと受け止められた。またインドネシアは貿易交渉の一環として政府の鉱物資源開発プロジェクトに米国の参入を促している。

◎韓国

韓国はこれまでの米国と何度も協議し、幾つかの予備的な合意を取り付けたものの、相互関税停止期限の延長を求める考えを表明した。韓国は既に、自由貿易協定の下で輸入される米国製品の関税を実質ゼロにしており、米国側が重視しているのは為替レートや防衛費など別の問題だ。トランプ氏は在韓米軍の費用分担についてしばしば不満を漏らしている。

◎タイ

米国から輸入タイ製品に36%の関税を課すと示唆されながらも、タイ政府は米国との合意に楽観的な見通しを示している。自国の関税引き下げやより多くの米国製品購入、対米投資拡大などがタイ側の提案だ。

◎中国

米国と中国の交渉は、他国・地域とは異なる日程で、より幅広い合意取りまとめの期限は8月に設定されている。

これまで両国は、トランプ氏による4月の相互関税発表後、中国がレアアース(希土類)鉱物・磁石の対米輸出を停止し、協議が停滞する場面もあった。しかし6月下旬に米国が、レアアース輸出再開と広範な貿易協定に向けた交渉継続で中国と合意したと明らかにしている。

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