- 2025/07/01 掲載
米北東部の天然ガス・パイプライン計画、トランプ氏政策で再び弾み
[30日 ロイター] - 米エネルギー企業は、トランプ米大統領の化石燃料推進政策と、燃料需要の拡大見通しを背景に、アパラチア山脈のシェールガス田で産出される天然ガスを輸送するパイプラインの建設に新たな商機を見出している。
米国はすでに世界最大のガス生産、液化天然ガス(LNG)輸出国。しかし米北東部の多くの消費者は、パイプラインが整備されていないためガスを利用できず、家庭や企業で暖房用を使用し続けている。
マーセラス層からウティカ層に及ぶアパラチアのシェールガス田は米国最大のガス埋蔵量を誇るが、既存パイプラインの大半がすでにフル稼働しているため、このガスを他地域に輸送する能力には限りがある。また、州や地方自治体、環境保護団体による規制や反対により、パイプラインの新設はこれまで困難だった。
一部企業はパイプライン建設の遅延や中止で数十億ドルの損失を被り、米ガス生産の約3分の1を担うこの地域の生産量は伸び悩んでいる。
しかしトランプ氏が国内エネルギー生産を促進するために規制を緩和したことで、複数の米企業が北東部でパイプラインその他インフラの建設・拡張を提案している。
米エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2024年に米国は1日当たり約1032億立方フィートのガスを生産し、消費量は過去最高の同905億立方フィートに上った。
LNG輸出プラントの新設と人工知能(AI)データセンター向け発電により、米国の電力・ガス需要は2025年と26年、そしてそれ以降も過去最高を更新するとアナリストは予想している。
コンサルティング会社イースト・デーリー・アナリティクスのアナリスト、ジャック・ワイエクセル氏は、30年までにアパラチア地域のガス供給に対する需要は最大で日量50億立方フィート増えると予想。「わずか12カ月前に予想されていた量をはるかに超える」と語った。
トランプ政権の政策を背景に、パイプライン運営会社ウィリアムズはすでに、中止していたプロジェクト2件の再開に着手した。ペンシルベニア州からニューヨークにガスを送る「コンスティテューション・パイプライン」と、同州からニュージャージー州およびニューヨークにガスを送る「ノースイースト・サプライ・エンハンスメント(NESE)」だ。
またニューヨークではミレニアム・パイプラインが、既存パイプラインの輸送能力拡張に向けた交渉を開始する計画だと発表した。
天然ガス生産大手EQTとその提携企業は、ウェストバージニア州からバージニア州を経てノースカロライナ州まで伸びる既存パイプラインを拡張したい意向だ。
オハイオ州ではボードウォーク・パイプラインズが、同州からルイジアナ州への輸送能力を拡大するパイプラインプロジェクトについて、各方面からの関心を評価中だとしている。
Company Proposed Pipeline State(s) Estimated Size in Bcfd Possible in Service Date
Williams - Transco Northeast Supply Enhancement (NESE) PA, NJ, NY 0.40 Nov 2027
Williams / Coterra Constitution PA, NY 0.65 Q3 2027
Williams - Transco Southeast Supply Enhancement VA, NC, SC, GA, AL 1.60 Q4 2027
EQT - Mountain Valley Pipeline Mountain Valley Pipeline - Southgate VA, NC 0.55 mid 2028
DT Midstream/TC Energy Millennium expansion NY 0.50 Nov 2029
Williams - Transco Power Express VA 0.95 Q3 2030
Boardwalk Pipelines - Texas Gas Transmission Borealis OH 2.00
EQT Mountain Valley Pipeline expansion WV, VA 0.50
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