• 2025/07/01 掲載

マクロスコープ:コメ「聖域化」は日本政府の失敗、トランプ発言で=キヤノンIGS 峯村氏

ロイター

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Tamiyuki Kihara

[東京 1日 ロイター] - トランプ米大統領が米国産コメ輸入に消極的な日本の姿勢に不満を表明したことについて、有識者に聞いた。

<キヤノングローバル戦略研究所主任研究員 峯村健司氏>

関税交渉の期限が迫ったこのタイミングでトランプ米大統領が日本にコメの輸入拡大を求めたのは、一言で言えば日本政府の戦略の失敗だ。

私が複数の米政府関係者から聞いたところによれば、自動車関税の引き下げを重視する日本に対し、米国は一貫して「バーターになり得るのはコメだ」と伝えていた。トランプ氏にとって、コメは最初から日米関税交渉の象徴的な存在だったのに、日本側はその意向に応えてこなかったのだ。

トランプ氏がこだわる背景には、2020年の日米貿易協定への不満がある。つまり、当時コメが交渉から外れたことへのリベンジだ。その意味で、コメはトウモロコシや大豆といった他の農作物とは異なる意味をもつわけだ。

トランプ氏は「日本は米国のコメを受け入れていないが、深刻なコメ不足に陥っている」と述べた。日本の事情をよく理解していることからも、コメに対するこだわりの強さが伝わる。交渉期限が迫っていることに対する憤りと揺さぶりもあるのだろう。

米政府の交渉関係者に聞くと、赤沢亮正経済再生相とラトニック商務長官との交渉はうまくいっているという。ただ、仮にラトニック氏が日本からの提案に満足しても、トランプ氏が満足しなければ意味はない。トランプ氏を最終的に説得できるのは石破茂首相しかいないが、私には石破氏がトップ会談による事態打開について積極性に欠けるようにもみえる。

日本政府は「国益とは何か」を改めて考えるべきだ。国内のコメ農家を保護することも食糧安全保障の観点からは重要だが、トランプ氏がこれだけコメにこだわっているという事実は軽視してはいけない。

一連の交渉については、グラス駐日米大使も大きな影響力をもつ。今からでもコメを聖域化しない交渉を進めるべきだ。グラス氏とのコミュニケーションを深めることも一つの手だろう。

いくら粘って時間を稼いでも事態は好転しない。このことを日本政府は肝に銘じるべきだ。

(鬼原民幸)

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