• 2025/07/09 掲載

インタビュー:日銀利上げは早くて来年3月か、高関税で賃金・物価の好循環に不透明感=桜井元委員

ロイター

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Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 9日 ロイター] - 元日銀審議委員の桜井真氏は9日、ロイターとのインタビューで、関税措置を巡る米国の強硬姿勢により、日銀の追加利上げは早くても来年3月以降に後ずれする可能性があるとの見通しを示した。桜井氏は年末に利上げの可能性があるとみてきたが、25%の関税が課されればこれまで続いてきた賃金と物価の好循環が途切れる可能性があり、年末利上げの前提が「足元から崩れかけている」と述べた。

桜井氏はこれまで、米国の高関税政策の影響を踏まえた企業の設備投資計画や上半期決算などを確認した上で、順調に行けば年末にも追加利上げの可能性があるとみてきた。

しかし、7日にトランプ大統領が日本からの輸入品に対し、8月1日から25%の関税を課すと表明したことで、年末の利上げの前提が崩れかけていると指摘する。関税に対する大統領の姿勢は強硬で、今後の交渉に関しても「日本だけが例外ということはあり得ないのではないか」とみている。

仮に25%の関税が適用された場合、日本から従来と同じ価格で米国に輸出しようとすると為替は1ドル=116円、税率がその半分の12.5%でも1ドル=130円程度でなければならないと指摘。いずれにしても現水準とのかい離は大きく「日本経済にとっては相当厳しい」と言い、「関税をある程度覚悟しなければならないとなれば、(企業経営者も)賃上げをそう簡単に認めるわけにもいかない」と語った。10月1日発表の9月日銀短観では、高関税を織り込んで企業の設備投資計画が大きく減る可能性もあるとみている。

賃金と物価の好循環が止まることになれば日銀も利上げをしづらくなり、来年の春闘次第で3月の利上げもあり得るものの、賃上げの継続が危ぶまれれば利上げは4月以降になるとの見通しを示した。

日銀は7月30―31日の金融政策決定会合で新たな展望リポートを議論する。桜井氏は、2025年度や26年度の成長率は下方修正される可能性があるとする一方で、物価見通しはあまり変わらないと予想。コメ価格が大きくは下がっていない一方で、食品価格上昇の期待インフレへの影響はまだ読みづらく、トランプ関税の影響が日本の物価にどう波及するかも見えてきていないためだという。

前回5月の展望リポートでは、実質国内総生産(GDP)の見通しは25年度が前年度比プラス0.5%、26年度がプラス0.7%だった。

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