- 2025/07/11 掲載
インタビュー:米中心にデータセンター証券化で攻勢、2割超増員へ=MUFG専務
[東京 11日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループは、証券化ビジネスをグローバルで本格的に拡大する。航空機やデータセンターなど非伝統的な資産を対象に、北米を中心とする成長市場で攻勢をかける。グローバルCIB事業本部長を務める中濱文貴執行役専務がロイターの単独インタビューで、今が攻めに転じる局面だとし、証券化に携わる人材を2割超増員する考えを明らかにした。
MUFGはすでに、クレジットカード債権やオートローンといった証券化商品で実績を重ねてきた。しかし、こうした資産は市場での流動性が高く、競合も多いためマージンが薄くなりやすい。中濱氏は、今後はより専門性が求められる航空機やデジタルインフラといった非伝統的な資産に注力し、証券化ビジネスの差別化と収益性の向上を図るという。
非伝統的資産との親和性が高いのが、MUFGが手掛けるプロジェクトファイナンス事業だ。2022年に米地銀ユニオンバンクのリテール部門を売却し、法人融資や市場部門を中核とする事業モデルへと転換。なかでも強みを持つプロジェクトファイナンスは、米国における融資実績で15年連続の首位を維持している。
中濱氏は「プロジェクトファイナンスで組成された資産、特に近年急増するデータセンターを対象に、CLO(ローン担保証券)などの証券化商品を仕掛けている。今後はさらに案件が増えるだろう」と述べ、プロジェクトファイナンスと証券化を組み合わせ、まずは米国での拡大に乗り出す方針を示した。
生成AI(人工知能)需要を背景とするデータセンターへの投資は北米を中心に急増しており、その動きは中東やアジアにも広がりつつある。中濱氏によると、自国内の内需に支えられるデータセンター建設は、トランプ米政権による関税政策の影響を比較的受けづらいとされている。米州を起点に他地域へ展開していくことも視野に入れる。
GCIB部門ではここ数年、低採算資産の入れ替えを進め、収益や財務基盤を強化してきた。国際的な資本規制(バーゼル3)を踏まえ、中長期的に自己資本利益率(ROE)を2桁台に引き上げるには、資金の借り手と出し手をつなぐオリジネーション&ディストリビューション(O&D)戦略の強化が重要とし、中濱氏は「攻めに転じる地合いができた」と話す。
自ら組成した融資案件を資本市場の投資家に販売することで、バランスシートへの依存を抑えつつ、新たな案件を柔軟に組成しやすくなる。資本効率の向上につながるこの戦略の柱の一つが、証券化との位置づけだ。
中濱氏はこれからのO&Dでは「プロジェクトファイナンスの主幹事引き受け案件を増やし、手数料収入の拡大を図るとともに、案件の販売量を1.5倍程度にしていく」とし、現在約80人の証券化に携わる人員体制を今年度から来年度の早い時期をめどに100人超へ増員する考えを示した。
※インタビューは10日に実施しました。
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