- 2025/07/16 掲載
FRB、インフレ抑制へ当面の金利据え置き必要=ダラス連銀総裁
Ann Saphir
[15日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のローガン総裁は15日、トランプ政権の関税による物価上昇圧力に直面する中でインフレ率を低く抑えるため、米連邦準備理事会(FRB)は政策金利をもうしばらく現行水準に維持する必要があるとの見方を示した。
「インフレ率を持続的に2%の目標に戻す作業を完了するには、しばらくの間、金利を適度に制約的な水準に維持する必要があるというのが私の基本シナリオだ」と講演で述べた。
関税は今のところインフレに大きな影響を与えていないとし、その理由として、企業が関税導入前に在庫を積み上げ、最終的な関税が明確になるまで追加コストを消費者に転嫁するのを待っているためだと指摘した。
「関税が物価全体にどのような影響を及ぼしているのかを十分に把握するには夏から秋にかけてデータを見ることになるだろう」と述べた。
一方で「インフレ鈍化と労働市場の弱まりが組み合わされば、かなり早期に金利引き下げが必要になる可能性もある」と言及。関税によるインフレ押し上げが予想ほど大幅、あるいは持続的にならない可能性があるほか、最近の労働市場データに見られるわずかな軟化の兆しや企業・家計の悲観的な見方は景気見通し悪化の前兆である可能性もあると指摘した。
その上で、近年の企業・消費者心理は支出のあまり良い指標ではなく、実際の経済状況を判断するにはハードデータを確認することが重要だと強調した。
6月の消費者物価指数(CPI)が加速したことについては、FRBが注視する個人消費支出(PCE)価格指数の前年比上昇率が5月の2.3%から「おそらくやや上昇する」ことを示唆しているとし、「納得するには低インフレがより長く続くのを確認したい」と述べた。
同時に、労働市場は堅調で、株式市場は過去最高値付近にあり、財政政策は成長の「追い風」になりそうだと指摘。「これら全てを踏まえると、インフレ率を持続的に目標に戻すには金融政策をもうしばらく堅持する必要があるという基本シナリオに至る」とし、「この基本シナリオでは、やや制約的な政策下でも最大雇用の維持は可能だ」と述べた。
利下げが早すぎれば経済の傷跡が深くなり、物価安定への道のりが長引くリスクがある一方、利下げが遅れれば労働市場がさらに弱まるリスクがあるが、その場合、FRBは「雇用を軌道に戻すため、さらなる利下げを行う選択肢がある」と述べた。その上で、現時点で金融政策は「適切な位置」にあるという認識を示した。
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