- 2025/08/01 掲載
米アマゾン、クラウド事業が競合に見劣り 株価7%超下落
Deborah Mary Sophia
[31日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コムが31日発表した第3・四半期の売上高見通しは市場予想を上回ったものの、クラウドコンピューティング事業で競合他社の好調さが際立つ中、同社のクラウドコンピューティング部門「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」は見劣りし、失望を誘った。
株価は引け後の時間外取引で7%超下落した。通常取引は1.7%高で終了していた。グーグルの親会社アルファベットとマイクロソフトは今月、クラウドコンピューティング事業で大幅な増収を発表した。
AWSの第2・四半期売上高は17.5%増の309億ドルで、市場予想の307億7000万ドルを上回ったが、マイクロソフトの「Azure(アジュール)」は39%増収、「グーグルクラウド」は32%増収だった。
AWSは利益率も低下した。第2・四半期の利益率は32.9%で、2023年第4・四半期以来の低水準。第1・四半期は39.5%、前年同期は35.5%だった。
DAデビッドソンのアナリスト、ギル・ルリア氏は、競合他社が好調となる中、「AWSは17%の成長にとどまっている」と指摘。「マイクロソフトのAzureがこのまま成長し続ければ、来年末にはAWSを抜いて最大のクラウドプロバイダーになるかもしれない」と語った。
第3・四半期の純売上高見通しは1740億─1795億ドル。LSEGがまとめたアナリストの平均予想は1730億8000万ドルだった。営業利益見通しは155億─205億ドル。アナリスト予想は194億5000万ドルだった。
AWSはアマゾンの総売上高に占める割合は小さいが、営業利益全体の約60%を占めており、利益の重要な原動力となっている。
アマゾンは人工知能(AI)インフラに数十億ドルを投じているが、アナリストはAWSから強力なAIモデルがないことが、AI開発で競合他社に後れを取っているとの懸念を引き起こしていると指摘する。
アマゾン株を保有するアプタス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、デイブ・ワグナー氏は、AWSの決算は「憂慮すべきものだ」と指摘。「アマゾンは営業レバレッジが効く企業で、少なくともコストに対して相対的に成長できる必要があったが、それができていない」と述べた。
ハイテク大手は、特にAIソフトウエアの展開・開発に向けてデータセンターの容量拡充へ設備投資を強化している。アマゾンは下期の支出が第2・四半期の314億ドルと同程度になるとの見通しを示した。通年では1180億ドル程度になることを意味する。アナリストは約1000億ドルと予想していた。
オンラインストアの売上高は11%増の615億ドル、急成長分野である広告事業の売上高は23%増の157億ドルだった。
投資家は関税関連の不確実性が消費者マインドを低下させている兆候がないか探ろうと、アマゾンの電子商取引(EC)部門の業績を注視している。
アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は関税による小売事業への影響を巡る懸念について、「今年前半を通じて、需要の減少や価格の大幅な上昇はまだ見られなかった」とし、「アマゾンのマーケットプレイスには計200万を超える多様な業者が出品しており、コスト上昇分を消費者に転嫁するかどうかの戦略も異なっている」と指摘。その上で「 今後どうなるかは分からない。特に中国への関税がどこに落ち着くのかは分からない」と語った。
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