- 2025/08/05 掲載
大幅上げで異例の長期戦に=「政府目標」も影響―最低賃金
2025年度の最低賃金引き上げを巡る議論は異例の長期戦となった。中央最低賃金審議会の小委員会は結論を3度持ち越し、44年ぶりに開いた第7回会合でようやく目安額を取りまとめた。政府が「20年代に1500円」という強気の目標を掲げる中、引き上げ幅の根拠となるデータの議論に時間をかけた結果、決着が長引いた形だ。
「あまりにも急激で高い目標に戸惑った」。ある使用者側委員は審議会で、政府目標に対する率直な受け止めを吐露した。政府では、賃金向上担当相を兼ねる赤沢亮正経済再生担当相が大幅な引き上げに執心。議論が佳境を迎えた8月1日には経済団体幹部と面会し、協力を求めた。
政府目標は「無視できない」(委員の1人)とはいえ、目安額は「生活費」「賃金」「企業の支払い能力」などの指標に基づいて議論するのが大原則だ。政府目標ありき、とならないよう小委員会は例年以上に意見調整に時間を費やした。小委員会の藤村博之委員長は3度目の持ち越しを決めた1日の会合で「納得感が高まる丁寧な報告をしたい」と強調した。
目安額は政府目標の達成に必要な年7.3%の水準には届かなかったが、63円(6.0%)と過去最大の水準で決着したことで、今後の焦点は地域ごとの引き上げ幅に移る。近年は人材獲得競争などを背景に目安を上回る改定に踏み切る地域が目立つ。中央審議会の委員からは「目安が形骸化している」との懸念も出ている。
【時事通信社】 〔写真説明〕2025年度の最低賃金引き上げの目安を議論する中央最低賃金審議会の小委員会=4日午前、厚生労働省
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