- 2025/08/05 掲載
米ETF市場で急成長の「バッファーファンド」、商品複雑化し汎用性に問題も
[ニューヨーク 4日 ロイター] - 米国の上場投資信託(ETF)市場では、値上がり時の利益を一定程度制限する代わりに損失を和らげるよう設計された「バッファーファンド」への資金流入が続き、本数が急増している。
バリュエーション高騰やトランプ政権の政策面での混乱がもたらすリスクから、最近までの投資収益を守ろうとする動きが投資家に広がる中で、今年に入ってから米国で約30本のバッファーファンドが新たに立ち上げられた。
タイダル・ファイナンシャル・グループによると、2年前に178本だったバッファーファンドはこれで350本近くに増えた形だ。
最も単純なバッファーファンドは、S&P総合500種などの指数に連動してある程度の上昇をクッションとして値下がりによる損失を吸収する。1980年代から存在する仕組みで、現在でもバッファーファンドの大部分を占める。発行体が提供したデータをロイターが検証したところでは、今年1-7月時点でこうしたバッファーファンドが全体の約86%、資金流入の75%前後を占めた。
ところが新規立ち上げ分の一部は、構造があまりにも複雑化し、大半の投資家にとって使い勝手の良いファンドとは言えなくなっているのではないか、という不安がアナリストや市場参加者の間で浮上している。
独立系のETF業界コンサルタント、デーブ・ナディグ氏は「全ての新商品はよりニッチな性格を帯びている。投資家のポートフォリオにとって本当に必要な新商品が足元で登場する確率はかなり小さい」と指摘した。
7月初めには、著名投資家キャシー・ウッド氏が率いるアーク・インベストメンツが申請した新たなバッファーファンドがそうした議論をさらに活発化させた。
アークが規制当局に承認を求めているのは、主力ファンド「アーク・イノベーションETF」に連動する商品で、指数ではなくアクティブ運用型ファンドと結び付く初めてのバッファーファンドになる。投資家はアーク・イノベーションETFの当初50%までの値下がりから保護される一方、当初6%の値上がりの利益は享受できない。
モーニングスターのETFアナリスト、ブライアン・アーマー氏は、ETFの分野でリスクテークと個別物色の先駆け的な企業がバッファーファンドを手がけるというのは「実に不思議な組み合わせだ」と述べた。
このほかゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは今年1月、ブラックロックも2023年半ばにバッファーファンドを設立した。
インベストメント・マネジメント・コーポレーションの金融アドバイザー、ケビン・ウォーマン氏は、新しく立ち上げられたさまざまなバッファーファンドの詳しい仕組みを理解するのに苦戦していると明かし、「どれを購入すれば真の必要性を満たせるのかを確かめたい」と語った。
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